「圧倒的なのは作品における現実離れであり、現実から離脱するためにさまざまなたくらみを仕掛けてくるヴィアンの、奔放にして自在な筆法の大胆さです」ヴィアンの魅力を瑞々しい訳文で再現する。
青年コランは美しいクロエと恋に落ち、結婚する。しかしクロエは肺の中に睡蓮が生長する奇妙な病気にかかってしまう……。愉快な青春の季節の果てに訪れる、荒廃と喪失の光景を前にして立ち尽くす者の姿を、このうえなく悲痛に、美しく描き切ったラブストーリー。決定訳ついに登場!
ボリス・ヴィアン Boris Vian |
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[ 1920 - 1959 ] フランスの作家・ミュージシャン。パリ郊外に生まれる。エリート校の国立中央工芸学校を卒業後、エンジニアとして勤務しながら、ジャズ・トランペッター、翻訳家、批評家、シャンソン作者・歌手としてマルチな才能を発揮した。『うたかたの日々』は没後、真価を認められ、現代恋愛小説の古典として読みつがれている。他の長編に『北京の秋』『心臓抜き』がある。1959年、デビュー作『墓に唾を吐きかけろ』の映画完成の試写上映中に心臓発作を起こし、39歳で人生を終えた。 |
[訳者] 野崎 歓 Nozaki Kan |
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1959年生まれ。放送大学教授。東京大学名誉教授。文学研究のみならず、映画や文芸評論、エッセイなど幅広く活躍。著書に『異邦の香り ネルヴァル「東方紀行」論』『夢の共有 文学と翻訳と映画のはざまで』『フランス文学と愛』『無垢の歌 大江健三郎と子供たちの物語』、訳書にサン゠テグジュペリ『ちいさな王子』、スタンダール『赤と黒』、ヴィアン『うたかたの日々』、プレヴォ『マノン・レスコー』、ネルヴァル『火の娘たち』、サール『人類の深奥に秘められた記憶』など多数。 |