並外れた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく心清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに。
あまりに有名な、クリスマス・ストーリー。並外れた守銭奴で欲深い因業爺の金貸し・スクルージが、クリスマス・イヴに、不思議な体験をする。三人の精霊が現れ、自分のつらい過去と対面した彼は、やがて......
イギリス文学の登場人物から際立った個性を選ぶなら、スクルージは間違いなく上から何位というところに居すわって長寿を保つと思われる。ディケンズが生み出したこの主人公は、嫌われ、憎まれ、疎まれながら、気がついてみれば、いつの時代にも読者が愛してやまなかった稀有な存在である。ついぞ大衆が見限ったことのない小説世界の傑物であると言わなくてはならない。
チャールズ・ディケンズ Charles Dickens |
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[ 1812 - 1870 ] イギリスの作家。親が借金を抱え、ロンドンのスラム街で少年時代を過ごす。法律事務所の使い走り、速記者などをしながら大英博物館に通って勉強し、新聞記者になる。ジャーナリストの目で社会を凝視した作品は大衆に歓迎された。『クリスマス・キャロル』『二都物語』『オリバー・ツイスト』『デヴィッド・カッパーフィールド』など。 |
[訳者] 池 央耿 Ike Hiroaki |
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1940年生まれ。翻訳家。訳書に『クリスマス・キャロル』(ディケンズ)、『南仏プロヴァンスの12か月』(メイル)、『新・人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(フルガム)、『アバラット』(バーカー)、『パイド・パイパー』(シュート)、『キーパー』(ピート)、『失われた地平線』(ヒルトン)、『ガーネット傑作集』、『タイムマシン』(ウェルズ)、『ヘンリー・ライクロフトの私記』(ギッシング)、『二都物語』(ディケンズ)ほか多数。 |