ルーマニア生まれのフランス人の詩人。第一次世界大戦中の1916年、スイス・チューリッヒで、言語と意味を切り離し、作家と作品を解体する反芸術運動ダダイズムを始動、現代芸術の方向を決定づける。1920年から「パリ・ダダ」の運動を主導するが、ブルトンと対立し、運動はシュールレアリスムに吸収される。その後は、芸実と社会の関わりに関心を寄せ、反ファシズム運動、反ナチ・レジスタンスに参加するが、ダダ的感性を失わずに独自の詩的言語を構築した。主な作品に『七つのダダ宣言・ランプ製造所』『ぼくらの鳥たちについて』『近似的人間』『人間の記憶のかりぎ』などがある。