猫の半分が〈元・人間〉だって、ご存知でしたか。家族も会社も、何もかもがいやになったら、ローマの遺跡の境界線をまたいで猫になってしまおう......。左翼系新聞に連載された、16の短編を収録。時代批評とパロディ精神に満ちた、楽しく突飛な世界への招待状。
魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家。ピアノを武器にするカウボーイ。ピサの斜塔を略奪しようとした宇宙人。捨てられた容器が家々を占拠するお話......。現代社会への痛烈なアイロニーを織り込んだ、極上の知的ファンタジー満載。
ジャンニ・ロダーリ |
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[ 1920 - 1980 ] イタリアを代表する児童文学作家・詩人・ジャーナリスト・教育者。「ファンタジーは人間の精神・人格を形成する大切なもの」と考え、画期的論考『ファンタジーの文法』や童話『チポリーノの冒険』などを著した。教訓におちいることなく、人類愛、反差別、自由の概念を、上質な笑いとともに表現。1970年児童文学のノーベル賞『国際アンデルセン賞作家賞』を受賞した。 |
[訳者] 関口英子 Sekiguchi Eiko |
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埼玉県生まれ。旧大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。主な訳書に『マルコとミルコの悪魔なんかこわくない!』『猫とともに去りぬ』(ジャンニ・ロダーリ)、『神を見た犬』(ブッツァーティ)、『天使の蝶』(プリーモ・レーヴィ)、『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』(ロダーリ)、『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(ピランデッロ)、『霧に消えた約束』(ジュゼッペ・ペデリアーリ)、『きっと天使だよ』(ミーノ・ミラーニ)、『イタリアの外国人労働者』(フォルトゥナート、メスナーニ)、『最後に鴉がやってくる』 (イタロ・カルヴィーノ)、『帰れない山』(パオロ・コニェッティ)など多数。『月を見つけたチャウラ』 (ピランデッ口)で第1回須賀敦子翻訳賞受賞。 |