「ハメットの小説は、一般に流通しているハードボイルド探偵小説のイメージから逸脱する何かを持っている。その『何か』を『文学性』と呼ぶことも可能だろう」(解説)。
賭博師ボーモントは友人の実業家であり、市政の黒幕・マドヴィッグに、次の選挙で地元の上院議員を後押しすると打ち明けられる。その矢先、上院議員の息子が殺され、マドヴィッグの犯行を匂わせる手紙が関係者に届けられる。友人を窮地から救うためにボーモントは事件の解明に乗り出す。
ダシール・ハメット |
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[ 1894 - 1961 ] アメリカの小説家。メリーランド州生まれ。幼いころから貧窮の生活を送り、20歳までは職を転々とする。1915年にピンカートン探偵社に入社、調査員となる。第一次大戦中には陸軍に入隊するも肺結核のため除隊。28歳ころから雑誌に短篇小説を投稿し、1922年のデビュー以来、パルプ・マガジンで活躍する。1929年、「コンチネンタル・オプ」シリーズの長編『赤い収穫』『デイン家の呪い』が立て続けに刊行され、一躍人気作家に。その後も探偵サム・スペードの『マルタの鷹』などを生み出すが、第5長編『影なき男』の刊行後は、創作は事実上停止。1937年には共産党に入党、「赤狩り」の時代には裁判所に召喚されるが証言を拒否、法廷侮辱罪で入獄する。1961年、肺癌により死去。 |
[訳者] 池田真紀子 Ikeda Makiko |
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上智大学法学部卒業。翻訳家。訳書に『ボーン・コレクター』『コフィン・ダンサー』などリンカーン・ライム"シリーズ(ディーヴァー)、『トム・ゴードンに恋した少女』(キング)、『フロイトの雨』(マドセン)、『ファイト・クラブ』(パラニューク)、『雨の掟』(アイスラー)『幼年期の終わり』(クラーク)ほか多数。" |