「DADAは何も意味しない」。無意味のメッセージとしてのダダ運動は、この言葉を通じて熱病のように世界に広がっていった。常識や制度の重圧で息がつまりそうな現代、明日のダダたちにこそ再発見してほしい1冊!
1916年、第一次世界大戦を避け、チューリッヒに集まった若者たち。彼らは社会への嫌悪感、未来への不安を共有しつつ、新たな生を模索しようとした。その一人トリスタン・ツァラはダダ運動を創始。世界中に飛び火し、今日まで人びとを震撼させてきた。そのエッセンスを抜粋!
トリスタン・ツァラ Tristan Tzara |
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[ 1896 - 1963 ] ルーマニア生まれのフランス人の詩人。第一次世界大戦中の1916年、スイス・チューリッヒで、言語と意味を切り離し、作家と作品を解体する反芸術運動ダダイズムを始動、現代芸術の方向を決定づける。1920年から「パリ・ダダ」の運動を主導するが、ブルトンと対立し、運動はシュールレアリスムに吸収される。その後は、芸実と社会の関わりに関心を寄せ、反ファシズム運動、反ナチ・レジスタンスに参加するが、ダダ的感性を失わずに独自の詩的言語を構築した。主な作品に『七つのダダ宣言・ランプ製造所』『ぼくらの鳥たちについて』『近似的人間』『人間の記憶のかりぎ』などがある。 |
[訳者] 塚原 史 Tsukahara Fumi |
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1949年生まれ。早稲田大学法学学術院教授。専攻はフランス現代思想と表象文化論。アヴァンギャルド(前衛)芸術から消費社会への展開に強い関心を寄せ、思考実験としての現代美術に注目する。主な著書に『ダダ・シュッルレアリスムの時代』『反逆する美学』『荒川修作の軌跡と奇跡』など。訳書は『種子と表皮』(ツァラ)、共訳に『アンドレ・ブルトン伝』(ベアール)、『象徴交換と死』(ボードリヤール)ほか多数。 |
あとがきのあとがき |
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「思考は口の中で生まれる—-ダダ的生き方のすすめ」〈1〉 塚原 史 |
「思考は口の中で生まれる—-ダダ的生き方のすすめ」〈2〉 塚原 史 |