無常だからこそ、魂のすべてを歌に込める----。
文化的価値の転換期に花開いた芸能に託した、編纂者・後白河院の真意を見誤らないことだ。私の本書での試みは、今様の〝今様〟訳である。(訳者)
歌の練習に明け暮れ、声を嗄らし喉を潰すこと、三度。
サブ・カルチャーが台頭した中世、聖俗一体の歌謡のエネルギーが、後白河法皇を熱狂させた。画期的新訳による中世流行歌全100選!
「わたしは バカな 女です」「マリーのひとりごと」「わが子ゆえの嘆き」「も一度 抱いて」etc.
後白河法皇 |
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[ 1127 - 1192 ] 日本の第77代天皇。鳥羽天皇の第四皇子。母は藤原璋子。諱(いみな)は雅仁。1155年即位。1158年譲位し、以後5代34年のあいだ、院政をおこなう。在位中は保元の乱などの戦乱が続き、また平氏政権から鎌倉幕府の確立にいたる変動期にあたる。朝廷の威信保持のために政治的計略を巡らし、源頼朝からは「日本一の大天狗」と評される。一方で仏教を深く信仰し、熊野詣では34度にわたった。また今様を熱愛し、『梁塵秘抄』を編纂するとともに、その解説書ともいうべき『梁塵秘抄口伝集』を著した。 |
[訳者] 川村 湊 Kawamura Minato |
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1951年生まれ。文芸評論家。1982〜86年、韓国釜山の東亜大学で日本・日本文学を教える。現在、法政大学国際文化学部教授。著書に『異郷の昭和文学』『戦後文学を問う『海を渡った日本語』『満洲崩壊』『妓生』『狼疾正伝』『牛頭天王と蘇民将来伝説』『福島原発人災記』ほか多数。訳書の『歎異抄』(唯円著・親鸞述)『梁塵秘抄』(後白河法皇 編纂)。 |