『魔の山』と好一対の傑作

詐欺師フェーリクス・クルルの告白(上)

詐欺師フェーリクス・クルルの告白(上)

マン    
岸 美光  訳   

ピカレスク・ロマン この圧倒的な面白さ!

作品

読み始めたら止まらない小説の面白さがここにある。冴えわたる筆で繰り広げられる厖大な語りと騙り、これぞマンの真骨頂。その意図的に古めかしい饒舌な文体を活かした、超絶技巧の新訳!


内容

武器は天与の美貌、爽やかな弁舌、鮮やかな模倣の才。貧しい青年クルルは子供の頃のずる休みと同様、仮病をつかって徴兵検査をくぐり抜け、憧れのパリで高級ホテルのエレベーターボーイとして雇われる。そして宿泊客の美しい女性作家に誘惑され、彼女の寝室に忍びこむと......。


トーマス・マン    Thomas Mann
[ 1875 - 1955 ]    リューベックの富裕な家庭に生まれたドイツの作家。ヴァーグナー、ニーチェなどの影響を受ける。ミュンヘンに移住後、長編小説『ブデンブローク家の人々』を発表(1901年)、注目を浴びる。1929年、ノーベル文学賞受賞。1933年、旅行中にスイスで亡命生活に入り、ナチスに対してつねに反対の姿勢をつらぬく。作品に『トーニオ・クレーガー』『魔の山』『ヨセフとその兄弟たち』『ヴァイマルのロッテ』『ファウストゥス博士』、エッセイに『非政治的人間の考察』など。
[訳者] 岸 美光    Kishi Yoshiharu
1948年埼玉県生まれ。翻訳業。元・東京都立大学教授。18世紀ドイツ文学専攻。主な訳書に『大きなケストナーの本』(ケストナー、リスト編、共訳)、『だまされた女/すげかえられた首』(マン)、『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』(マン)がある。