ラスト、その怖さに息を呑む

ねじの回転

ねじの回転

ジェイムズ    
土屋政雄  訳   

文学史上もっとも恐ろしい小説、新訳で登場。

作品

『ねじの回転』は亡霊譚ではあるものの、単に語りの名人芸を示すだけの作品ではなく、同時代の社会的問題を意識的に織り込んだ、社会・文化にたいする批評性を有する小説でもある。(解説より)


物語

両親を亡くし、英国エセックスの伯父の屋敷に身を寄せる美しい兄妹。奇妙な条件のもと、その家庭教師として雇われた「わたし」は、邪悪な亡霊を目撃する。子どもたちを守るべく勇気を振り絞ってその正体を探ろうとするが――巧緻きわまる構造から紡ぎ出される戦慄の物語。


解説

松本 朗(上智大学文学部教授)


[オーディオブック/参考リンク] [書評]
  • GINGER2012年12月号(幻冬舎)

  • 「通勤のお供に・女家庭教師が"邪"に挑む孤独な戦い」 (評者:温水ゆかりさん)

  • 読売新聞夕刊2012年10月29日

  • 「複雑に揺れる心理をたどる繊細な語りが、伝統的なゴシック小説の亡霊譚の奥に潜む恐怖を描く」 (評者:川口晴美さん)

ヘンリー・ジェイムズ    Henry James
[ 1843 - 1916 ]    ニューヨーク生まれ。裕福な家庭に育ち、幼い頃から家族とともにヨーロッパ各地に滞在、芸術の鑑識眼、多言語・多文化に通じるコスモポリタン性を身につける。1862年、ハーバード大学ロー・スクールに入学するも翌年退学。64年、物書きとしてデビュー。76年ロンドンに移住、以後、ロンドンを中心に活動。78年、短編小説「デイジー・ミラー」を発表、英国文壇で絶賛される。代表作に『ある貴婦人の肖像』『ねじの回転』『鳩の翼』『黄金の盃』など。登場人物の複雑な心理描写、アメリカとヨーロッパの価値観の対比など独自の作風を確立、小説の技法を極めたと評される。
[訳者] 土屋政雄    Tuchiya Masao
翻訳家。訳書に『千の輝く太陽』(カーレド・ホッセイニ)、『コンゴ・ジャーニー』(レドモンド・オハンロン)、『エデンの東』(ジョン・スタインベック)、『日の名残り』『わたしを離さないで』『夜想曲集』(カズオ・イシグロ)、『日本文学の歴史 古代・中世篇』(ドナルド・キーン)、『イギリス人の患者』(マイケル・オンダーチェ)、『月と六ペンス』(サマセット・モーム)『ダロウェイ夫人』(バージニア・ウルフ)ほか多数。