ソクラテスの裁判とは何だったのか?

ソクラテスの弁明

ソクラテスの弁明

プラトン    
納富信留  訳   

プラトン対話篇の最高傑作、ついに登場!

作品

ソクラテスの裁判とは何だったのか、ソクラテスの生と死は何だったのか。その真実を、プラトンは「哲学」として後世に伝える。私たち一人ひとりに、自分のあり方、生き方を問うているのである。


訳者まえがきより

この作品を読む方は、「皆さん」と呼びかけられる裁判員の席に坐って、騒然とする野外の法廷でソクラテスの語りに耳を傾けている自分の姿を、想像してください。当日に裁判員に任命されたばかりの法廷で、何が起っているのかもよく分からないまま、告発者メレトスやアニュトスの訴えに耳を傾け、次に被告ソクラテスの言葉を聞いて、その場で票を投じなければならない。さて、その瞬間にあなたは、どんな目にあい、何を考え、どう行動するのでしょうか。
『ソクラテスの弁明』は、私たち一人ひとりに、自分のあり方、生き方を問う作品なのです。


訳者あとがきより

ソクラテスの生と死は、今でも強烈な個性をもって私たちに迫ってくる。しかし、彼は特別な人間ではない。ただ、真に人間であった。彼が示したのは、「知を愛し求める」あり方、つまり哲学者(フィロソフォス)であることが、人間として生きることだ、ということであった。私たち一人ひとりも、そんなソクラテスの言葉を聞きながら――プラトンが書き記した言葉を読みながら――人間として生きることを、学んでいくのであろう。


目次
  • 訳者まえがき──『ソクラテスの弁明』を読む前に
  • ソクラテスの弁明
  • 解説 納富信留
  • プラトン対話篇を読むために
  • 年譜
  • 訳者あとがき
  • 重要人物および事項一覧

ソクラテス・プラトン年譜
プラトン    ΠΛΑΤΩΝ
[ 427 B.C. - 347 B.C. ]    古代ギリシャを代表する哲学者。アテネの名門の家系に生まれる。師ソクラテスとの出会いとその刑死をきっかけに哲学の道に入り、40歳ころには学園「アカデメイア」を創設して、晩年まで研究・教育活動に従事した。ソクラテスを主人公とする「対話篇」作品を生涯にわたって書き続け、その数は30編を超える。主な作品として、本書をはじめ、『ソクラテスの弁明』、『メノン』、『パイドン』、『饗宴』、『国家』、『テアイテトス』、『法律』などがある。その壮大な体系的哲学は、後世の哲学者たちに多大な影響を及ぼした。
[訳者] 納富信留    Notomi Noburu
1965年生まれ。東京大学大学院教授。英国ケンブリッジ大学古典学部にてPh.D取得。西洋古代哲学・西洋古典学専攻。国際プラトン学会前会長。著書に『ソフィストと哲学者の間』『ソフィストとは誰か?』 『プラトン 哲学者とは何か』『哲学者の誕生』『プラトン 理想国の現在』等、訳書に『ソクラテスの弁明』がある。