あなたはこの「現実」から逃げられない。

月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集

月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集

ピランデッロ    
関口英子  訳   

イタリアのノーベル賞作家が紡いだ不思議世界!
第一回須賀敦子翻訳賞受賞!

関口英子さんがピランデッロ『月を見つけたチャウラ』で受賞! 第一回須賀敦子翻訳賞、授賞式レポート
作品

テーマは、神話やフォークロアをモチーフとしたもの、人生の不条理、真実と虚構、現実と幻影、狂気と正気の相対性、人間とは対照的な存在としての自然と動物、そして死など、きわめて多様だ。(解説より)


内容

硫黄鉱山での重労働の果てに暗い坑道を抜け出ると......静かで深い感動に包まれる表題作。作家が作中の人物たちの愚痴や悩みを聞く「登場人物の悲劇」など15篇を収録。シチリア出身のノーベル賞作家が、突然訪れる人生の真実の瞬間を、時に苦しく時にユーモラスに描く短篇集。


目次
  • 1 月を見つけたチャウラ
  • 2 パッリーノとミミ
  • 3 ミッツァロのカラス
  • 4 ひと吹き
  • 5 甕
  • 6 手押し車
  • 7 使徒書簡朗誦係
  • 8 貼りついた死
  • 9 紙の世界
  • 10 自力で
  • 11 すりかえられた赤ん坊
  • 12 登場人物の悲劇
  • 13 笑う男
  • 14 フローラ夫人とその娘婿のポンツァ氏
  • 15 ある一日
[書評]
    週刊朝日2012年11月23日号/週刊図書館
  • 見慣れた〈現実〉の中に、未だ掘り出されずに眠っている〈発見〉の数々 (評者:蜂飼 耳さん)

  • 毎日新聞2012年10月28日/今週の本棚
  • 人目にふれない心の世界の「ドラマ」を照らす (評者:荒川洋治さん)
ルイジ・ピランデッロ    Luigi Pirandello
[ 1867 - 1936 ]    イタリアの作家・劇作家。シチリアのアグリジェントで生まれ、パレルモ大学、ドイツのボン大学で法律、文学などを学ぶ。1904年、小説『生きていたパスカル』を刊行。1910年ころから劇作に手を染める。1921年初演の『作者を探す六人の登場人物』で、世界的に知られるようになる。1922年、『ヘンリー四世』初演。短篇集の『一年分の物語』の刊行が始まる。1934年、ノーベル文学賞受賞。1936年、肺炎で死去。
[訳者] 関口英子    Sekiguchi Eiko
埼玉県生まれ。旧大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。主な訳書に『マルコとミルコの悪魔なんかこわくない!』『猫とともに去りぬ』(ジャンニ・ロダーリ)、『神を見た犬』(ブッツァーティ)、『天使の蝶』(プリーモ・レーヴィ)、『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』(ロダーリ)、『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(ピランデッロ)、『霧に消えた約束』(ジュゼッペ・ペデリアーリ)、『きっと天使だよ』(ミーノ・ミラーニ)、『イタリアの外国人労働者』(フォルトゥナート、メスナーニ)、『最後に鴉がやってくる』 (イタロ・カルヴィーノ)、『帰れない山』(パオロ・コニェッティ)など多数。『月を見つけたチャウラ』 (ピランデッ口)で第1回須賀敦子翻訳賞受賞。