テーマは、神話やフォークロアをモチーフとしたもの、人生の不条理、真実と虚構、現実と幻影、狂気と正気の相対性、人間とは対照的な存在としての自然と動物、そして死など、きわめて多様だ。(解説より)
硫黄鉱山での重労働の果てに暗い坑道を抜け出ると......静かで深い感動に包まれる表題作。作家が作中の人物たちの愚痴や悩みを聞く「登場人物の悲劇」など15篇を収録。シチリア出身のノーベル賞作家が、突然訪れる人生の真実の瞬間を、時に苦しく時にユーモラスに描く短篇集。
ルイジ・ピランデッロ Luigi Pirandello |
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[ 1867 - 1936 ] イタリアの作家・劇作家。シチリアのアグリジェントで生まれ、パレルモ大学、ドイツのボン大学で法律、文学などを学ぶ。1904年、小説『生きていたパスカル』を刊行。1910年ころから劇作に手を染める。1921年初演の『作者を探す六人の登場人物』で、世界的に知られるようになる。1922年、『ヘンリー四世』初演。短篇集の『一年分の物語』の刊行が始まる。1934年、ノーベル文学賞受賞。1936年、肺炎で死去。 |
[訳者] 関口英子 Sekiguchi Eiko |
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埼玉県生まれ。旧大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。主な訳書に『マルコとミルコの悪魔なんかこわくない!』『猫とともに去りぬ』(ジャンニ・ロダーリ)、『神を見た犬』(ブッツァーティ)、『天使の蝶』(プリーモ・レーヴィ)、『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』(ロダーリ)、『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(ピランデッロ)、『霧に消えた約束』(ジュゼッペ・ペデリアーリ)、『きっと天使だよ』(ミーノ・ミラーニ)、『イタリアの外国人労働者』(フォルトゥナート、メスナーニ)、『最後に鴉がやってくる』 (イタロ・カルヴィーノ)、『帰れない山』(パオロ・コニェッティ)など多数。『月を見つけたチャウラ』 (ピランデッ口)で第1回須賀敦子翻訳賞受賞。 |