フラッグと名付けられた仔ジカは、ジョディの無二の親友となった。だが、育ちざかりのフラッグは次第に一家の大事な畑を食い荒らすようになり、父はジョディに厳しい決断を迫る......美しくも苛酷な自然の中で、逞しく生きる人々の姿を力強く描いたアメリカ文学屈指の名作。......(『鹿と少年』改題)
自然と人間の関係は、アメリカ文学のなかでは伝統的に取り組まれてきたテーマであり(中略)この作品の迫力は、なんといっても、自然と人間の生易しい〈共生〉が否定 されているところにある。(解説より)
マージョリー・キナン・ローリングズ |
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1896 -
1953 ]
アメリカの小説家。ワシントンDCに生まれ、子どものころから創作コンテンストに度々入賞し才能を発揮する。大学を卒業後、新聞記者になるが、作家としては芽が出なかった。1928年、旅行でフロリダ半島の奥地を訪れ、原生林の残る自然に感動し、居を定める。以降はこの地方を舞台にした小説を生み出し、1938年の「The Yearling」(本書)がベストセラーとなり、ピュリッツァー賞を受賞する。他にも数々の長短編小説を発表するが、1953年に脳出血で死去。 |
[訳者] 土屋京子 Tuchiya Kyoko |
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1956年生まれ。東京大学教養学部卒。翻訳家。訳書に『ナルニア国物語』全7巻(C・S・ルイス)、『あしながおじさん』(ウェブスター)、『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』(トウェイン)、『小公子』『小公女』『秘密の花園』(バーネット)、『仔鹿物語』(ローリングズ)、『部屋』(ドナヒュー)、『ワイルド・スワン』(ユン・チアン)、『EQ〜こころの知能指数』(ゴールマン)ほか多数。 |