不倫の罪を背負いながらも毅然と生きる女、罪悪感に苛まれて衰弱していく牧師、復讐心に燃えて二人に執着する医師――宗教色に隠れがちだった登場人物たちの心理に、深みと真実味を吹き込んだ新訳登場!
17世紀ニューイングランド、幼子をかき抱いて刑台に立った女の胸に付けられた「A」の文字。子供の父親の名を明かさないヘスター・プリンを、若き教区牧師と謎の医師が見守っていた。各々の罪を抱えた三つの魂が交わるとき緋文字の秘密が明らかに! アメリカ文学屈指の名作登場。
ナサニエル・ホーソーン Nathaniel Hawthorne |
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[ 1804 - 1864 ] マサチューセッツ州セイラム生まれ。清教徒の古い家系に生まれ、先祖はクエーカー教徒への迫害や、「魔女裁判」の判事だったことで知られる。作家を志して1837年、短編集『トワイストールド・テールズ』を出版。翌々年ボストン税関に就職するが、政変の影響によって失職する。その後、理想主義的な実験村ブルック・ファームに参加するも幻滅して脱退。セイラム税関に就職し、再び政変で解任された翌1850年、本書を発表して文名をあげた。第14代大統領ピアスと親交があり、1853年リヴァプール領事として渡英ののち、フランス、イタリアへ旅して、アメリカへ帰った。ニューイングランドの精神を最もよく伝える作家である。子供向けの『子供のための伝記物語』『ワンダーブック』も名高い。 |
[訳者] 小川高義 Ogawa Takayoshi |
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1956年生まれ。東京工業大学名誉教授。著書に『翻訳の秘密』。訳書に『低地』(ラヒリ)、『さゆり』(ゴールデン)、『骨』(フェイ・ミエン・イン)、『オリーヴ・キタリッジの生活』(ストラウト)、『老人と海』(ヘミングウェイ)、『緋文字』(ホーソーン)、『黒猫/モルグ街の殺人』(ポー)、『若者はみな悲しい』『グレート・ギャッツビー』(共にフィッツジェラルド)ほか多数。 |