ハリウッドのセレブ葬儀社を舞台にブラックな笑いが弾ける恋愛喜劇

ご遺体

ご遺体

イーヴリン・ウォー    
小林章夫  訳   

作品

『回想のブライズヘッド』で知られる20世紀英国文学の鬼才ウォーは、古い上流階級の滑稽さや、新しい商業主義の浅薄さを痛烈に皮肉るユーモア小説でも知られ、『ご遺体』はその本領発揮といえる作品だ。


内容

英国出身でペット葬儀社勤務のデニスは、友人の葬儀の手配のためハリウッドでも評判の葬儀社<囁きの園>を訪れ、そこのコスメ係と恋に落ちる。だが彼女の上司である腕利き遺体処理師もまた、奇怪な方法で彼女の気を引いていたのだった......。 容赦ないブラック・ユーモアが光る中編佳作。

「新・古典座」通い -- vol.19 『ご遺体』を書く複雑さと伊丹十三
3月刊『ご遺体』解剖!
著者年譜
イーヴリン・ウォー    Evelyn Waugh
[ 1903 - 1966 ]    20世紀を代表するイギリスの小説家。名門出版社の社長を父に持ち、しつけの厳しい全寮制学校に学ぶ。オクスフォードで歴史学を専攻するが中退し、その後教職などを経て作家に。1928年、上流階級への風刺がきいた処女小説『大転落』が好評を博し、続けて『黒いいたずら』『一握の塵』などを発表。一方、1930年にはカトリック信者となっており、これは1945年発表の代表作『回想のブライズヘッド』の礎となった。1948年には前年からのアメリカ旅行をヒントに本作『ご遺体』を発表。その後も戦争小説や旅行記を書いた。
[訳者] 小林章夫    Kobayashi Akio
1949年東京生まれ。上智大学文学部英文科教授。2021年8月死去。専攻の18世紀イギリス文学を中心に近代のイギリスの文学・文化を多角的に研究する。 1985年、ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞。著書は『女王、エリザベスの治世』『エロティックな大英帝国』『コーヒー・ハウス』 『イギリス名宰相物語』など多数。訳書に『フランケンシュタイン』(シェリー)、『ファニー・ヒル』(クリーランド)、『ワイン物語』(ジョンソン)など