殺人事件発生の報せを受けて運河の街にやってきた捜査官ヴァラス。しかし肝心の遺体も犯人も見当たらず、人々の曖昧な証言に右往左往する始末。だが関係者たちの思惑は図らずも「宿命的結末」を招いてしまうのだった。〈ヌーヴォー・ロマン〉の旗手、ロブ=グリエの代表作。
アラン・ロブ=グリエ |
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1922 -
2008 ]
フランスで興った前衛的な文学運動〈ヌーヴォー・ロマン〉の代表的作家。映画監督。1948年に執筆した初の長篇『弑逆者』は当時出版されなかったが1953年に本作『消しゴム』を刊行すると、ロラン・バルトに絶賛され、一躍人気作家となる。長篇『覗くひと』『嫉妬』『迷路のなかで』、批評集『新しい小説のために』などを発表する一方、1960年には映画『去年マリエンバートで』の脚本を執筆し、1963年には 『不滅の女』で初の映画監督を務める。以後も精力的に執筆、映画の監督、講演などを行い、2004年には由緒ある国立学術団体であるアカデミー・フランセーズの会員に選出されている。 |
[訳者] 中条省平 Chujo Shohei |
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1954年生まれ。学習院大学教授。仏文学 研究のほか、映画・文学・マンガ・ジャズ 評論など多方面で活動。主著に『カミュ伝』『恋愛書簡術』『反=近代文学史』『フランス映画史の誘惑』。訳書に『マダム・エドワルダ/目玉の話』(バタイユ)、『恐るべき子供たち』(コクトー、共訳)、『肉体の悪魔』 (ラディア)、『花のノートルダム』(ジュネ)、『消しゴム』(ロブ=グリエ)、『狭き門』(ジッド、共訳)、『にんじん』(ルナール)、『すべては消えゆく』(マンディアルグ)ほか多数。 |