自分そっくりの男を身代わりにした保険金殺人の結末は?

絶望

絶望

ナボコフ    
貝澤 哉  訳   

"完全犯罪"を描いたナボコフ初期の最大傑作!
ロシア語原典から初訳

作品

ベルリン在住のビジネスマンのゲルマンは、プラハ出張の際、自分と"瓜二つ"の浮浪者を偶然発見する。そしてこの男を身代わりにした保険金殺人を企てるのだが......。"完全犯罪"を狙った主人公がみずからの行動を小説にまとめ上げるという形で書かれたナボコフ初期の傑作!


内容

「じつにユニークで意表をつくテーマやアイディア、特徴的な細部や巧妙な仕掛けに満ち満ちている。ナボコフ文学のファンにとっては、のちに開花することになる彼の小説のエッセンスが堪能できる、なんともたまらない逸品と言えるだろう」(訳者解説より)


「ナボコフから読者への挑戦状」貝澤 哉さんに聞く
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創刊5周年記念対談
『ロリータ』だけじゃ分からない!"言葉の魔術師"ナボコフの魅力を語る。
沼野充義(東京大学教授)×貝澤哉(早稲田大学教授)
2011年10月5日(水)収録
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ウラジーミル・ナボコフ    Владимир Набоков
[ 1899 - 1977 ]    ロシア出身の多言語作家。サンクト=ペテルブルクの貴族の家庭に生まれる。1919年、革命を避けて出国。'20年代から、ベルリンやパリのロシア語新聞、雑誌に「シーリン」の筆名で作品を寄稿し始め、短編から中編、長編と数多くの作品を刊行し、またフランス語、英語での創作にも手を染めた。'37年、ナチス支配のドイツを逃れ、フランスに移住。'40年にはアメリカに移住した。英語で執筆され、'58年にアメリカで刊行した『ロリータ』は大きな話題となり世界的名声を獲得した。'77年、風邪を悪化させ気管支炎となり、ローザンヌの病院で死去。主な作品に『賜物』『アーダ、あるいは情熱ーある家族の年代記』など。また翻訳も多数ある。
[訳者] 貝澤 哉    Kaizawa Hajime
ロシア文学者。早稲田大学文学学術院教授。著書に『引き裂かれた祝祭 バフチン・ナボコフ・ロシア文化』、訳書に『カメラ・オブスクーラ』『絶望』『偉業』(ナボコフ)、『ナボコフ全短篇』(ナボコフ、共訳)、『アウェイ ゲーム』(マリーニナ)、『全体主義芸術』(ゴロムシトク)などがある。