「若さ! 若さ! 若さをのぞいたらこの世に何が残るというのだ!」

ドリアン・グレイの肖像

ドリアン・グレイの肖像

ワイルド    
仁木めぐみ  訳   

美貌を保つ肉体と醜く変貌する魂の対比。
ワイルドの芸術観・道徳観が盛り込まれた代表作。

作品

舞台はロンドンのサロン。美貌の青年ドリアンと彼に魅了される画家バジル。 そしてドリアンを自分の色に染めようとする快楽主義者のヘンリー卿。 卿に感化され、快楽に耽り堕落していくドリアンは、その肖像画だけが醜く変貌し、 本人は美貌と若さを失うことはなかったが......。


訳者あとがきより

イギリス上流社会のある種、浮世離れしたきらびやかな雰囲気を味わい、全編にちりばめられた気まぐれで矛盾だらけの警句の数々に心地よくもてあそばれながら、自分の存在理由である「美」と「若さ」を守ろうとするドリアンの苦悩と焦燥を共に体験していただきたい。

ワイルド年譜
オスカー・ワイルド    Oscar Wilde
[ 1854 - 1900 ]   

アイルランド出身の作家・劇作家。外科医で著述家の父と、詩人であった母との間に次男として生まれる。自身の唱える芸術至上主義を身をもって実践し、ロンドン社交界で人気者となる。29歳で結婚。『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』などの話題作を発表し時代の寵児となるが、同性愛の罪で逮捕・投獄。出獄後フランスに渡るも、3年後の1900年、パリにて客死。

[訳者] 仁木めぐみ    Niki Megumi
翻訳家。主な訳書に『ローマ人が歩いた地中海』(T・ペロテット)、『琥珀蒐集クラブ』(S・ベリー)、『ナイトクラブの罠』(H・ローウェル)、『悪魔のピクニック』(T・グレスゴー)など。