今夜もまた、あの砂男がやって来る......

砂男/クレスペル顧問官

砂男/クレスペル顧問官

ホフマン    
大島かおり  訳   

サイコ・ホラーの原点
オペラ『ホフマン物語』のもととなった傑作3篇

作品

E・A・ポー、バルザック、ボードレール、ドストエフスキーなど後世の作家に幅広い影響を与えたホフマン。怪奇と幻想、そして諧謔に 満ちた作品群は、二百年の時を超え、いまなお読者を魅了してやまない。


物語

サイコ・ホラーの元祖と呼ばれる、恐怖と戦慄に満ちた傑作「砂男」。芸術の圧倒的な力とそれゆえの悲劇を幻想的に綴った「クレスペル顧問官」。魔的な美女に魅入られ、鏡像を失う男を描く「大晦日の夜の冒険」。ホフマンの怪奇幻想作品の中でも代表作とされる傑作3篇。


エルンスト・テオドア・アマデウス・ホフマン    Ernst Theodor Amadeus Hoffmann
[ 1776 - 1822 ]    ドイツの作家。ケーニヒスベルク生まれ。2歳のときに母の実家に引き取られる。ケーニヒスベルク大学法科に入学後、もっぱら作曲や楽器演奏、絵画に励む。卒業後、司法官試補を経て陪席判事に任じられる。1804年、南プロイセン政庁参事官としてワルシャワ入りし、2年後、ナポレオン軍のワルシャワ侵攻のために失職。劇場音楽監督の職を求めてバンベルク劇場と契約。支配人補佐の地位を得た後、作曲家、演出家として活躍する。1814年『カロ風幻想作品集』を出版。旺盛な作家活動を展開し、一躍、流行作家となる。その後、ベルリン大審院判事に復職した。1819年『ネコのムル君の人生観』執筆開始。46歳で、脊椎カリエスのため死去。
[訳者] 大島かおり    Oshima Kaori
1931年生まれ。東京女子大卒。翻訳家。訳書に『モモ』(エンデ)、『天皇の逝く国で』(フィールド)、『アーレント=ヤスパース往復書簡』(アーレント、ヤスパース)、『黄金の壺/マドモアゼル・ド・スキュデリ』『砂男/クレスペル顧問官』(ホフマン)、『ミシンと日本の近代――消費者の創出』(ゴードン)など多数。