「先生の人物、思想、本領を併せ得て、十二分に活躍せしむる、蓋しこの書に如くは無し」。弟子の幸徳秋水が評した自由民権思想家、"東洋のルソー"中江兆民の不朽の名作。非武装・無抵抗主義か、軍備拡張・侵略主義か。
130年後の今こそ、あらためて読まれるべき最重要古典である。
自由平等・絶対平和の追求を主張する洋学紳士君と軍備拡張で対外侵略を、と激する豪傑君に対し、南海先生の持論は二人に「陳腐」と思われて……。自らの真意を絶妙な距離感で「思想劇」に仕立てた中江兆民の代表作。未来を見通した眼力が、近代日本の問題の核心を突く!
中江兆民 Nakae Chomin |
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[ 1847 - 1901 ] 政治思想家、翻訳家、哲学者、ジャーナリスト、自由民権運動家。土佐(現・高知県)出身。本名は篤助(または篤介)。1871年、岩倉使節団に同行して渡仏。74年帰国後、東京に仏学塾を開き新しい学問・思想を教育する。西園寺公望の「東洋自由新聞」主筆をつとめ、自由党創設に参画、著作以外に、ジャーナリストとして自由民権思想の啓蒙と専制政府への攻撃をおこなう。ルソーの『社会契約論』を翻訳・読み解いた『民約訳解』は明治以降、大きな思想的影響を与えた。門下に幸徳秋水がいる。最晩年、独自の合理主義・唯物論哲学を随想集『一年有半』『続一年有半』にあらわす。著書はほかに『理学鉤玄』など。訳書は『民約訳解』など多数。 |
[訳者] 鶴ヶ谷真一 Tsurugaya Shinichi |
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1946年東京都生まれ。エッセイスト。早稲田大学文学部卒業。著書に『書を読んで羊を失う』(第48回日本エッセイスト・クラブ賞)『猫の目に時間を読む』『古人の風貌』『月光に書を読む』『紙背に微光あり』などがある。 |
書評 | |
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2022.12.15 BRUTUS(マガジンハウス)2023年1月1日・15日合併号 | 2023年を生き抜くブックガイド/地政学リスク(鈴木一人さん) |
2020.03.20 朝日新聞 | 古典百名山 中江兆民「三酔人経綸問答」思想家の苦悩に豊かな文学性(平田オリザ) |