フローベールの面白さを忘れてはいませんか?

感情教育(上)

感情教育(上)

フローベール    
太田浩一  訳   

19世紀フランス恋愛小説の最高傑作、待望の新訳!

作品

二月革命前夜の19世紀パリ。人妻への一途な想いと 高級娼婦との官能的恋愛。打算に満ちた上流階級夫人への接近......。アンビバレントな恋愛感情に揺れ動く青年の精神を、激動する時代とともに描いた青春小説の最高傑作。『ボヴァリー夫人』と並ぶフローベールの代表作を流麗かつ優美な新訳で贈る。


物語

法律を学ぶためパリに出た青年フレデリックは、帰郷の船上で美しい人妻アルヌー夫人に心奪われる。パリでの再会後、美術商の夫の店や社交界に出入りし、夫人の気を惹こうとするのだが......。二月革命前後のパリで夢見がちに生きる青年と、彼をとりまく4人の女性の物語。


〈あとがきのあとがき〉フローベールの現代性と失われたパリ/『感情教育』の訳者・ 太田浩一さんに聞く
〈あとがきのあとがき〉ヒーローなき世代の作家フローベールの「歴史+恋愛」小説 /『感情教育』の訳者・ 太田浩一さんに聞く
ギュスターヴ・フローベール    Gustave Flaubert
[ 1821 - 1880 ]    フランスの小説家。ルーアンで外科医の息子として生まれる。大学でははじめ法律を学ぶが性に合わず、創作活動に向かう。1857年、4年半をかけて書き上げたデビュー作『ボヴァリー夫人』が、訴訟事件が起きたという宣伝効果もあってか大ベストセラーになり、作家としての地位を確立した。1869年に自伝的な作品『感情教育』を発表したが、売れ行きはともかく、世評は芳しくなかった。晩年は長編『ブヴァールとベキュシェ』に精力をつぎ込んだが、完成を見ずして1880年、自宅で死去。身近な題材を精緻に客観描写するフローベールの手法は、その後のゾラ、モーパッサンらに影響を与えた。他の作品に『サラムボー』『三つの物語』などがある。
[訳者] 太田浩一    Kouichi Ota
フランス文学翻訳家。中央大学兼任講師。訳書に『感情教育』『三つの物語』(ともにフローベール)、『モーパッサン傑作選』『ロックの娘』(ともにモーパッサン)、『ルルージュ事件』(ガボリオ)、『ミステリ文学』(ヴァノンシニ)などがある。