「幼心を顕微鏡でのぞいてみれば、いともたやすく驚異の世界に入っていける。
そのことを思い出すために、F‐J・オブライエンの小説がある。」 豊﨑由美さん推薦!

不思議屋/ダイヤモンドのレンズ

不思議屋/ダイヤモンドのレンズ

オブライエン    
南條竹則  訳   

作品

完全な顕微鏡を完成させた素人学者が、覗いてみた水滴の中に完璧な美をもつ女性を見出す「ダイヤモンドのレンズ」。ロボット物の古典として評価の高い「不思議屋」。独創的な才能を発揮しポーの後継者と呼ばれるオブライエンの幻想、神秘、奇想に富む8作を収録した傑作短篇集。


内容

「妖美という言葉が真に当てはまる小説をいくつか挙げてみろと言われたら、わたしは躊躇いなく『ダイヤモンドのレンズ』をその一つに数えるでしょう」(訳者)。怪奇幻想小説の新訳で大注目の南條竹則氏。その南條氏が、自身の思い出とシンクロする表題作を含め、愛着ある作品ばかりで編んだ珠玉の八篇をお贈りします。


収録作品
  • ダイヤモンドのレンズ
  • チューリップの鉢
  • あれは何だったのか?──1つの謎──
  • なくした部屋
  • 墓を愛した少年
  • 不思議屋
  • 手品師ピョウ・ルーが持っているドラゴンの牙
  • ハンフリー公の晩餐

〈あとがきのあとがき〉「ロマン派+SF的」というオブライエンの特異性 『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』の 訳者・南條竹則さんに聞く
〈あとがきのあとがき〉音楽をこよなく愛する者が、音楽とカバラをテーマにした驚異の小説を訳す ──『人間和声』の訳者・南條竹則さんに聞く
〈あとがきのあとがき〉『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』「温泉郷でブラックウッドを翻訳す」 南條竹則さんに聞く
フィッツ=ジェイムズ・オブライエン   
[ 1828 - 1862 ]    アイルランド生まれのアメリカの小説家。ダブリン大学で教育を受けた後、ロンドンに出るが、遊蕩三昧の生活で遺産を使い果たしてしまい、24歳でニューヨークに渡る。新聞・雑誌に小説や評論を寄稿しながら贅沢な生活を送っていたが、貧困に陥り、南北戦争勃発を機に北軍に入隊。ようやく赴いた前線で敵方の将校との決闘になり、その時に受けた傷がもとで34歳の若さで亡くなった。
[訳者] 南條竹則    Nanjo Takenori
東京生まれ。小説『酒仙』で第5回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。主な著書に小説『あくび猫』、エッセイ『恐怖の黄金時代──英国怪奇小説の巨匠たち』『ドリトル先生の英国』『吾輩は猫画家である』。主な訳書に『ねじの回転』(ジェイムズ、共訳)、『D.G.ロセッティ作品集』(共訳)、『木曜日だった男 一つの悪夢』(チェスタトン)、『白魔』(マッケン)、『天来の美酒/消えちゃった』(コッパード)、『秘書綺譚』『人間和声』(ブラックウッド)、『怪談』(ラフカディオ・ハーン)、『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』(ワイルド)、『消えた心臓/マグヌス伯爵』(M・R・ジェイムズ)、『アーネスト・ダウスン作品集』、『新アラビア夜話』(スティーヴンスン、共訳)、『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』(オブライエン)、『エリア随筆』(ラム)など。