優柔不断な青年フレデリックのアルヌー夫人への恋はかなうのか?

感情教育(下)

感情教育(下)

フローベール    
太田浩一  訳   

自伝的作品にして傑出した歴史小説!

作品

もう一人の主人公はパリ──
「本書は、四十代に達した作家がみずからの青春時代に材をもとめ、多彩な登場人物を配して、ある世代の広範な歴史絵巻を、(中略)壮大 な『精神史』をつくろうとする野心的なこころみでもあったのです」(解説より)


物語

故郷で悶々とした生活を送るなか、フレデリックに思わぬ遺産がころがりこんできた。パリに舞い戻ったフレデリックはアルヌー夫人に愛をうちあけ、ついに媾曳きの約束をとりつけることに成功する。そして、運命のその日、二月革命が勃発するのだった......。
自伝的作品にして歴史小説の最高傑作。


〈あとがきのあとがき〉フローベールの現代性と失われたパリ/『感情教育』の訳者・ 太田浩一さんに聞く
〈あとがきのあとがき〉ヒーローなき世代の作家フローベールの「歴史+恋愛」小説 /『感情教育』の訳者・ 太田浩一さんに聞く
ギュスターヴ・フローベール    Gustave Flaubert
[ 1821 - 1880 ]    フランスの小説家。ルーアンで外科医の息子として生まれる。大学でははじめ法律を学ぶが性に合わず、創作活動に向かう。1857年、4年半をかけて書き上げたデビュー作『ボヴァリー夫人』が、訴訟事件が起きたという宣伝効果もあってか大ベストセラーになり、作家としての地位を確立した。1869年に自伝的な作品『感情教育』を発表したが、売れ行きはともかく、世評は芳しくなかった。晩年は長編『ブヴァールとベキュシェ』に精力をつぎ込んだが、完成を見ずして1880年、自宅で死去。身近な題材を精緻に客観描写するフローベールの手法は、その後のゾラ、モーパッサンらに影響を与えた。他の作品に『サラムボー』『三つの物語』などがある。
[訳者] 太田浩一    Kouichi Ota
フランス文学翻訳家。中央大学兼任講師。訳書に『感情教育』『三つの物語』(ともにフローベール)、『モーパッサン傑作選』『ロックの娘』(ともにモーパッサン)、『ルルージュ事件』(ガボリオ)、『ミステリ文学』(ヴァノンシニ)などがある。