これ、本当に100年前に書かれたんですか?

二十世紀の怪物 帝国主義

二十世紀の怪物 帝国主義

幸徳秋水    
山田博雄  訳   

今こそ読まれるべき「世界史の教科書」
遺稿『死刑の前』を収録

作品

ホブソン、レーニンに先駆けて書かれた「帝国主義論」の嚆矢。仏訳もされ、基本文献として高く評価されている。師・中江兆民の思想を踏まえ、徹底した「平和主義」を主張する「反戦の書」。大逆事件による刑死直前に書かれた遺稿「死刑の前」を収録。


内容

愛国心、中国人への侮蔑、ねたましさ......。幸徳の批判は的確だ。よほどボンヤリ読むのでない限り、本書は二十一世紀の日本社会に突き刺さる。文学と社会科学が渾然一体となった思想的エッセイであり、硬直した考えでは捉えられない豊かさを含んで輝く(訳者)。


目次
  • 訳者まえがき
  • 二十世紀の怪物 帝国主義
  • 『帝国主義』へのはしがき(内村鑑三)
  • 三つの前置き
  • 第一章 まえがき
  • 第二章 愛国心を論ずる
  • 第三章 軍国主義を論ずる
  • 第四章 帝国主義を論ずる
  • 第五章 結論
  • 死刑の前(腹案)
〈あとがきのあとがき〉古いイメージを捨てて「新たな幸徳秋水」。彼は、武力をもって海外に出ていこうとする国家に対して、何をどう主張したのか? 『二十世紀の怪物 帝国主義』の訳者・山田博雄さんに聞く
《関連記事》
いま、幸徳秋水『二十世紀の怪物』を読む意味 「自由」を生きた人が辿った軌跡(WEBRONZA/佐藤美奈子さん)
幸徳秋水    Koutoku Shusui
[ 1871 - 1911 ]    明治時代の社会主義者、著述家。高知県出身。本名は伝次郎。少年時代に自由民権思想の影響を受ける。中江兆民に師事し、万朝報の記者となる。片山潜らと日本で最初の社会主義政党である社会民主党を結成するが、即日禁止となり、直後に万朝報社内に結成された理想団に参加。さらに堺利彦らと平和主義・社会主義・民主主義を旗印として「平民新聞」を発刊し、日露戦争反対の論陣を張る。のち渡米し、クロポトキンらの影響でアナキズムに傾く。大逆事件の首謀者とみなされ、刑死。著書は他に『社会主義神髄』など。訳書にマルクス・エンゲルス『共産党宣言』、クロポトキン『麺麭(パン)の略取』など。
[訳者] 山田博雄    Yamada Hiroo
新潟県生まれ。1995年、中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(政治学)。日本政治思想史専攻。中央大学、武蔵野大学ほかで非常勤講師。著書に『中江兆民 翻訳の思想』(単著)、『福沢諭吉の思想と近代化構想』(共著)、『兆民をひらく―明治近代の〈夢〉を求めて―』(共著)、『体制擁護と変革の思想』(共著)、『現代社会を読み解く知』(共著)など。訳書に幸徳秋水『二十世紀の怪物 帝国主義』。