“短篇作家”ゾラの魅力発見!
奇抜な設定と意外な結末

オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家 ゾラ傑作短篇集

オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家 ゾラ傑作短篇集

ゾラ    
國分俊宏  訳   

『居酒屋』『ナナ』だけじゃない

作品

ゾラの短篇は、まず何よりも読んで面白い。人間の欲望や野心、社会格差やリアリズムなど、ゾラの作品世界のエッセンスをそのまま保ちながら、時にスリリングに、時にコミカルに、この作家の想像力のありようを、よりわかりやすく提示している。(訳者)


物語

完全に意識はあるが肉体が動かず、周囲に死んだと思われた男の視点から綴られる「オリヴィエ・ベカイユの死」。新進気鋭の画家とその不器量な妻との奇妙な共犯関係を描いた「スルディス夫人」など、稀代のストーリーテラーとしてのゾラの才能が凝縮された5篇を収録。


収録作

オリヴィエ・ベカイユの死/ナンタス/呪われた家──アンジュリーヌ
シャーブル氏の貝/スルディス夫人


エミール・ゾラ    Émile Zola
[ 1840 - 1902 ]    フランスの小説家。幼少よりデュマ、ユゴーなどを耽読。大学進学を諦めて創作に没頭し、パリで貧困生活を送った後、出版社に入社。作家や編集者たちと交流し、初の短篇集を刊行する。出版社退社後は文学に科学的・客観的視点を採り入れた「自然主義」を提唱。全20巻からなる『ルーゴン・マッカール叢書』を執筆し、『居酒屋』『ナナ』などで人気作家となる。長篇小説のほか、多くの短篇、美術論集なども残している。1894年にユダヤ人陸軍大尉がスパイ容疑で逮捕された冤罪事件(ドレフュス事件)が起こると、軍の不正と虚偽を糾弾する文章(「私は告発する!」)を新聞に発表して話題となり、一時亡命を余儀なくされた。1902年に一酸化炭素中毒により死去。
[訳者] 國分俊宏    Kokubu Toshihiro
1967年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。パリ第3大学博士課程修了(文学博士)。青山学院大学国際政治経済学部教授。フランス文学専攻。訳書に『ソヴィエト旅行記』(ジッド)、『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家 ゾラ傑作短篇集』(ゾラ)、『プルーストと過ごす夏』(コンパニョン、クリステヴァ 他)、『抄訳 アフリカの印象』(ルーセル)、『額の星 無数の太陽』(ルーセル、共訳)、『哲学者たちの動物園』(マッジョーリ)、『少女』(ヴィアゼムスキー)など。