本書は『ちいさな王子』や『夜間飛行』の原型となったエピソードを披瀝しながら、極限状態で発揮される人間の気高さ、強さ、意志の力を描いた希望の書である。挑戦を厭わない人々にとって道標となるのは間違いない。
郵便機のパイロットとして長いキャリアを持つ著者が、駆け出しの日々、勇敢な僚友たちのこと、アフリカや南米での人々との交流、自ら体験した極限状態などについて、時に臨場感豊かに、時に哲学的に語る。人間にとって大切なものは何かを鋭く問うたサン=テグジュペリ文学の大傑作。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ |
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[ 1900 - 1944 ] フランスの作家・飛行家。兵役で航空隊に志願、除隊後は民間航空業界に入る。26歳で作家デビュー。自らの飛行体験に基づく作品を発表した。主著に『夜間飛行』『人間の土地』など。『戦う操縦士』は、ヒトラー『我が闘争』に対する、「民主主義からの返答」として高く評価されている。 |
[訳者] 渋谷 豊 Shibuya Yutaka |
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1968年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1995年から8年間のパリ滞在を経て、現在、信州大学人文学部准教授。パリ第四大学文学博士。訳書に『ぼくのともだち』、『きみのいもうと』(ボーヴ/日仏翻訳文学賞受賞)、『鶏のプラム煮』(サトラピ)、『母の家で過ごした三日間』(ヴェイエルガンス)など。 |