眉も剃らず、
お歯黒もつけず
夢中になるのは虫ばかり
あたしは元祖虫ガール

虫めづる姫君 堤中納言物語

虫めづる姫君 堤中納言物語

作者未詳    
蜂飼耳  訳   

平安人の息遣いが蘇る11編

作品

風流な貴公子の失敗談、「花を手折る人(花桜折る中将)」。年ごろなのに夢中になるのは虫ばかりの姫、「あたしは虫が好き(虫めづる姫君)」。一人の男をめぐる二人の女の明暗をあぶり出す「黒い眉墨(はいずみ)」……。無類の面白さと意外性が味わえる物語集。訳者による珠玉のエッセイを各編に収録。


内容

「人が生き、言葉が交わされる場ではいつも物語が生まれてきた。昔もいまも、人は物語を通して疑い、また納得してきたのだろう。 記憶を持ち、言葉を通して過去・現在・未来を持つということは、そういうことだ」(訳者)。


〈あとがきのあとがき〉ラストシーンから、近代文学とは違った物語発生の場を垣間見る ──『虫めづる姫君 堤中納言物語』の訳者・蜂飼耳さんに聞く

[書評]
  • 毎日新聞2015年10月11日/今週の本棚
  • 「どの一編も時代を超えて、異彩を放つ。心に強くひびく。...古典新訳の、あるべき姿を示す注目の一冊。」
  
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[訳者] 蜂飼耳    Hachikai Mimi
1974年神奈川県生まれ。詩人・作家。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。詩集『いまにもうるおっていく陣地』で第5回中原中也賞を受賞。詩のみならず、小説、エッセイ、絵本、書評などでも活躍する。他の著書に、詩集『食うものは食われる夜』(第56回芸術選奨新人賞)、『隠す葉』『現代詩文庫・蜂飼耳詩集』、『顔をあらう水』(第7回鮎川信夫賞)、小説『紅水晶』『転身』、文集『孔雀の羽の目がみてる』『空席日誌』『おいしそうな草』、訳書『虫めづる姫君 堤中納言物語』などがある。