なぜ欲望に負けてしまうのか。役に立つ、楽しい人だからと愛するのは、愛なのか。快楽を追求するのは悪いことなのか。人生におけるこれらの難問について、アリストテレスが根源的に考え抜いた究極の「幸福論」。
下巻では、行為と思慮深さの関係、意志の弱さにかんする哲学的難問、人生における愛と友人の意義、そして快楽の幸福への貢献について考察する。人間の感情と知性のはたらきを深く考え、完全な幸福とは何かを追究した、倫理学史上もっとも重要で、現代的な意味をもつ古典。
アリストテレス年譜 |
---|
アリストテレス ΑΡΙΣΤΟΤΕΛΗΣ |
---|
[ 384 B.C. - 322 B.C. ] 古代ギリシャを代表する哲学者。ギリシャ北部のスタゲイラに生まれ、17歳ころアテナイのプラトンの学園アカデメイアに入学、20年間研究生活を送る。プラトンの死後小アジアなどの遍歴時代を経て、50歳近くでアレクサンドロス王の庇護のもとでアテナイに学園リュケイオンを創設し、学頭として研究と教育に没頭した。かれの著作は講義ノートが大部分であり、内容別に整理され、学問方法論、理論学の『形而上学』、『魂について』、実践学の『二コマコス倫理学』『政治学』、制作学の『詩学』などがある。 |
[訳者] 渡辺邦夫 Watanabe Kunio |
---|
1954年生まれ。茨城大学人文学部教授。博士(学術)。東京大学大学院比較文学比較文化専門課程博士課程単位取得退学。古代ギリシャ哲学専攻。著書に『アリストテレス哲学における人間理解の研究』、訳書に『メノン』(プラトン)『ニコマコス倫理学』(アリストテレス)がある。 |
[訳者] 立花幸司 Tachibana Koji |
---|
1979年生まれ。熊本大学文学部准教授、ジョージタウン大学メディカルセンター国際連携研究員。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了、博士(学術)。哲学・倫理学専攻。訳書に『ケンブリッジ・コンパニオン 徳倫理学』『ニコマコス倫理学』(アリストテレス)など。 |