同性愛の匂いがする暴君アレクサンドルと従弟ロレンゾの関係、「王殺し」の主題、 5幕39場という長大な構成......。本国フランスでも長らく上演されなかったなど、いわくつきの傑作を、日本で初めて上演(1993年)してから23年。満を持しての完全版での刊行!!
※1993年の日本初上演は、渡辺守章さんの演出で銀座セゾン劇場で行われた。
メディチ家の暴君アレクサンドル。その放蕩の手先を務め腹心を装いつつ主君の暗殺を企てるロレンゾ。義妹チーボ侯爵夫人へのアレクサンドルの恋を利用して権力を握ろうとするチーボ枢機卿......。謎に満ちた暗殺事件を、二人の若者の間に交錯する権力とエロスを軸に描いたミュッセの代表作。
アルフレッド・ド・ミュッセ Alfred de Musset |
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[ 1810 - 1857 ] フランスの作家。パリに生まれる。9歳にならないうちから高等中学校に通い古典的教養を身につけた。19歳で最初の作品集を発表。以降、いくつかの戯曲を書くが上演での評判は芳しくなかった。23歳の時に7歳年上のジョルジュ・サンドと知り合い、愛人関係となる。後に代表作となる『マリアンヌの気紛れ』『戯れに恋はすまじ』などは20代前半に書かれた作品。健康状態が悪化し、晩年の6年間はほとんど創作活動をしなかった。1857年死去。他の作品に『ある心移り』『扉は開いているか、閉まっているか、どちらか』『世紀児の告白』など。 |
[訳者] 渡辺守章 Watanabe Moriaki |
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1933年生まれ。京都造形芸術大学教授。東京大学名誉教授。演出家。フランス文学・表象文化論を専攻。2021年4月死去。著書に『ポール・クローデル----劇的想像力の世界』『演劇とは何か』『越境する伝統』など。訳書に『フェードル アンドロマック』、『ブリタニキュス ベレニス』(ともにラシーヌ)、『繻子の靴』(クローデル)、『女中たち バルコン』(ジュネ)、『シラノ・ド・ベルジュラック』(ロスタン)、『アガタ/声』(デュラス、コクトー)、『マラルメ詩集』(マラルメ)、『ロレンザッチョ』(ミュッセ)など。 |