童話とは違う真の姿がよみがえる

ピノッキオの冒険

ピノッキオの冒険

カルロ・コッローディ    
大岡 玲  訳   

ピノッキオは "筋金入りのトラブルメーカー" だった!

作品

ディズニー的ピノッキオを念頭に置いて本書を読むと、そのイメージのあまりの違いに驚かれる向きも多いのではないだろうか。(中略)欲望を抑制する術をまったく持ちあわせない、勝手気ままで無思慮、つまり愚かそのもののキャラクターだ。(解説より)


物語

一本の棒っきれから作られた少年ピノッキオは、誘惑に屈してばかりで騒動に次ぐ騒動を巻き起こす。父ジェッペットさんをはじめ周囲の大人たちを裏切り続ける悪たれ小僧の運命は? 19世紀後半イタリア統一の時代、子どもに対する切ない願いを込めて書かれた児童文学の傑作。


カルロ・コッローディ    Carlo Collodi
[ 1826 - 1890 ]    イタリアの小説家、ジャーナリスト、評論家。フィレンツェに生まれる。ピーエ校で哲学と修辞学を学ぶかたわら書店でアルバイトを始め、知識人や作家、ジャーナリストらと交わったことで政治への関心が芽生え、その後執筆を開始する。1848年、第一次イタリア独立戦争に義勇兵として参加。その後日刊紙を創刊したり評論、戯曲、小説などを手がけたりし、旺盛な執筆活動に入る。1881年、借金返済の目的もあり、『ピノッキオの冒険』の原型となる作品を週刊「子供新聞」に連載として発表。その後中断を挟むが子供たちの要望で再開され、1883年に完結する。著書はほかに『蒸気機関車のロマンス』『ジャンネッティーノ 子供のための本』『ミヌッツォロ』など多数。
[訳者] 大岡 玲    Ooka Akira
1958年、東京生まれ。小説家。東京外国語大学イタリア語科卒、同大学院修了。1989年『黄昏のストーム・シーディング』で三島由紀夫賞、1990年『表層生活』で芥川賞受賞。著書はほかに『ヒ・ノ・マ・ル』『森の人』『ブラック・マジック』『本に訊け!』『男の読書術』『たすけて、おとうさん』『不屈に生きるための名作文学講義 本と深い仲になってみよう』など多数。訳書に『ピノッキオの冒険』(コッローディ)、『アモンティラードの樽その他』(ポー)、『月と六ペンス』(モーム)、『王子シッダールタ』(ケンディ)全3巻などがある。