過去と向き合い、現在(いま)に集中する。

人生の短さについて 他2篇

人生の短さについて 他2篇

セネカ    
中澤 務  訳   

2000年読み継がれてきた、よく生きるための処方箋
マインドフルネスの元祖

作品

人生は浪費すれば短いが、過ごし方しだいで長くなると説く表題作。逆境にある息子の不運を嘆き悲しむ母親を、みずからなぐさめ励ます「母ヘルウィアへのなぐさめ」。仕事や友人、財産との付き合い方をアドヴァイスする「心の安定について」。古代ローマの哲学者セネカが贈る"人生の処方箋"。


内容

二千年たった今でも、われわれは、あいかわらず多忙の中で生きています。もしかしたら、多忙による自己喪失の度合いは、現代のほうがはるかに大きいのかもしれません。セネカの考察は、このような現代のわれわれが、自分の本当の時間を取り戻すためにも、重要な手がかりを与えてくれるのではないでしょうか。(訳者)

目次
訳者まえがき
人生の短さについて
母ヘルウィアへのなぐさめ
心の安定について
 解説 中澤 務
 年譜
 訳者あとがき
セネカ    Lucius Annaeus Seneca
[ 1 B.C. - 65 A.D. ]    ローマ帝国の属州ヒスパニア・バエティカのコルドバに生まれる。子どものころから本格的に哲学を学び、その道に進もうとしたが、父に許されず断念。政治の道を目指しカリグラ帝時代に財務官として活躍する。カリグラ帝が暗殺されクラウディウスが皇帝に就くと、その妃メッサリナの画策により姦通罪に問われ、コルシカ島へ追放される。8年余りの追放生活ののちローマに戻り、ネロの教育係となる。ネロが皇帝に就任後は政治的補佐を務めるが、制御することができず辞表を出す。隠遁生活に入ってからは精力的な執筆活動をおこなった。その後、ネロ暗殺の陰謀が発覚。陰謀に加担した嫌疑で自殺を命じられ、みずから命を絶った。
[訳者] 中澤 務    Nakazawa Tsutomu
1965年生まれ。関西大学文学部教授。古代ギリシャ哲学を中心に、哲学・倫理学の諸問題を幅広く研究する。著書に『ソクラテスとフィロソフィア』。共著に『技術と身体』、『都市の風土学』、『バイオエシックスの展望』。訳書に『プロタゴラス−−あるソフィストとの対話』『饗宴』(プラトン)、『人生の短さについて 他2篇』(セネカ)、『詩編注解』(アウグスティヌス、共訳)など。