特定の時代・状況設定を与えられた魅力的な登場人物たちの心情と行動が、現代人にも理解可能な形で活写される。〈中略〉本作は結末を知っていても面白い。それどころか何度読んでも面白い。(解説より)
豪華列車「オリエント急行」が大雪で立ち往生した翌朝、客室で一人の富豪の刺殺体が発見される。国籍も階層も異なる乗客たちにはみなアリバイが......。名探偵ポアロによる迫真の推理が幕を開ける!20世紀初頭の世界情勢を背景に展開するミステリーの古典にして不朽の人間ドラマ。
解説斎藤兆史(英文学者・東京大学教授)
アガサ・クリスティー Agatha Cristie |
---|
[ 1890 - 1976 ] イギリスの小説家。裕福な家庭に生まれる(のちに家の経済状態は悪化)。第一次世界大戦中は志願者看護師や薬剤師の仕事をする。最初に志した音楽家の道を断念した後、推理小説の執筆を始める。1920年のデビュー作『スタイルズ荘の怪事件』以降、55年にわたり年1冊以上の作品を上梓し続けた。本作のほか『ロジャー・アクロイド殺人事件』『ABC殺人事件』『そして誰もいなくなった』などが代表作。探偵エルキュール・ポアロや、ミス・マーブルといった魅力的な人物造形で世界中に読者を得る。小説のみならず戯曲でも人気を博した。 |
[訳者] 安原和見 Yasuhara Kazumi |
---|
鹿児島県生まれ。翻訳家。小説からノンフィクションまで幅広く手がける。東京大学文学部西洋史学科卒。訳書に『銀河ヒッチハイク・ガイド』(アダムス)、『世界鉄道史-血と鉄と金の世界変革』(ウォルマー)、『エンジニアリングの真髄』(ペトロスキー)、『南シナ海―アジアの覇権をめぐる闘争史』(ヘイトン)、『人間さまお断り―人工知能時代の経済と労働の手引き』(カプラン)、『モンティ・パイソンができるまで-ジョン・クリーズ自伝』など多数。 |