"悩める若者たち"に読み継がれる青春小説。

デーミアン

デーミアン

ヘッセ    
酒寄進一  訳   

ぼくの人生はこのまま失敗してしまうのか?
周囲の期待を裏切っているかも 
自分はこの社会に合っていない

作品

第一次大戦前にはすでに有名作家だったヘッセは、敢然と反戦を主張したため社会から黙殺されていた。敗戦後、従来の郷愁を誘う作風とは一線を画して、偽名で発表された『デーミアン』は、混迷を深めるドイツで、そしてその後全世界で、既存の価値観にぶつかって苦しむ人々の圧倒的支持を得ることになった。


物語

些細な嘘をついたために不良に強請られていたエーミール。だが転校してきたデーミアンと仲良くなるや、不良は近づきもしなくなる。デーミアンの謎めいた人柄と思想に影響されたエーミールは、やがて真の自己を求めて深く苦悩するようになる。少年の魂の遍歴と成長を見事に描いた傑作。


ヘルマン・ヘッセ    Hermann Hesse
[ 1877 - 1962 ]    ドイツの作家。両親はキリスト教伝道者。神学校に進むが学校生活になじめず、神経を病み退学。その後も高校退学、3日で書店を退職するなど挫折を繰り返す。しかし独学で勉強し、27歳で出した初めての小説『ペーター・カーメンツィント』で成功を収め、有名作家となる。主な作品に『車輪の下で』『デーミアン』『シッダールタ』『荒野の狼』。1946年ノーベル文学賞受賞。1962年脳内出血のため自宅で睡眠中に死去。
[訳者] 酒寄進一    Sakayori Shinichi
1958年生まれ。ドイツ文学翻訳家。和光大学教授。『犯罪』(シーラッハ)で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞。訳書に『刑罰』『神』(シーラッハ)、『深い疵』(ノイハウス)、『ベルリン1919赤い水兵』(コルドン)、『赤毛のゾラ』(ヘルト)、『春のめざめ』(ヴェデキント)、『デーミアン』(へッセ)ほか多数。