ブッツァーティは、われわれが無意識のうちに心の奥底に抱えている心象風景を、類まれな感性でえぐりだし、容赦なく突きつける。読者は既視感を味わい、ぞくりと身を震わせる。(解説より)
とつぜん出現した謎の犬におびえる人々を描く表題作。老いたる山賊の首領が手下にも見放され、たった一人で戦いを挑む「護送大隊襲撃」……。モノトーンの哀切きわまりない幻想と恐怖が横溢する、孤高の美の世界22篇。
ディーノ・ブッツァーティ Dino Buzzati |
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[ 1906 - 1972 ] イタリアの作家。魔術的幻想文学の書き手として世界的に名高い。新聞記者としてスタートし、小説も次々と発表。社会批評、絵画製作、舞台美術などでも活躍する。代表作は、長編小説『タタール人の砂漠』、短編集『七人の使者』、童話『シチリアを征服したクマ王国の物語』など。短編集『六十物語』で、イタリア文学界最高の賞とされるストレーガ賞を受賞。 |
[訳者] 関口英子 Sekiguchi Eiko |
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埼玉県生まれ。旧大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。主な訳書に『マルコとミルコの悪魔なんかこわくない!』『猫とともに去りぬ』(ジャンニ・ロダーリ)、『神を見た犬』(ブッツァーティ)、『天使の蝶』(プリーモ・レーヴィ)、『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』(ロダーリ)、『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(ピランデッロ)、『霧に消えた約束』(ジュゼッペ・ペデリアーリ)、『きっと天使だよ』(ミーノ・ミラーニ)、『イタリアの外国人労働者』(フォルトゥナート、メスナーニ)、『最後に鴉がやってくる』 (イタロ・カルヴィーノ)、『帰れない山』(パオロ・コニェッティ)など多数。『月を見つけたチャウラ』 (ピランデッ口)で第1回須賀敦子翻訳賞受賞。 |