人は何のために生き、何のためになら死ねるのか?

戦う操縦士

戦う操縦士

サン=テグジュペリ    
鈴木雅生  訳   

決死の偵察飛行! 戦争体験を描いた自伝的小説

作品

サン=テグジュペリの< 人間主義ヒューマニズム>は、70年以上経った現在でも、いや、むしろ互いに互いを排斥し合う偏狭なナショナリズムが世界を覆おうとしている現在だからこそ、その力強さでわれわれの心を揺さぶらずにはいられない。(「解説」より)


物語

ドイツ軍の電撃的侵攻の前に敗走を重ね、機能不全に陥ったフランス軍。危険だがもはや無益な偵察飛行任務を命じられた「私」は、路上に溢れる避難民を眼下に目撃し、高空での肉体的苦痛や対空砲火に晒されるうち、人間と文明への《信条》を抱くに至る。著者の実体験に基づく小説。

〈あとがきのあとがき〉 飛行士作家サン=テグジュペリの豪気な性格は、あの詩的な作品にも生きている!? ──『戦う操縦士』の訳者・鈴木雅生さんに聞く

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ   
[ 1900 - 1944 ]    フランスの作家・飛行家。兵役で航空隊に志願、除隊後は民間航空業界に入る。26歳で作家デビュー。自らの飛行体験に基づく作品を発表した。主著に『夜間飛行』『人間の土地』など。『戦う操縦士』は、ヒトラー『我が闘争』に対する、「民主主義からの返答」として高く評価されている。
[訳者] 鈴木雅生    Suzuki Masao
1971年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学、パリ第四大学博士。学習院大学文学部教授。共著書に『フランス文化事典』『フランス文化読本』。訳書に『戦う操縦士』 (サン=テグジュペリ)、『ポールとヴィルジニー』 (ベルナルダン・ド・サン=ピエール)、「地上の見知らぬ少年」 (ル・クレジオ、 第16回日仏翻訳文学賞)、『きびしい冬』 (クノー)など。