作品 |
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本書に描かれた十九世紀後半のロシアは、(中略)既存の社会機構の動揺や明確な価値観の喪失等で、現代のグローバル化した世界にも通じている。流動化した世界に生きる私たちは、ゴーリキーの手を経て本書に立ち現れた群像の中に、自分たちに類した絶望や希望、感情や思考の屈託と流露を見いだすだろう。(解説より) |
物語 |
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半地下の部屋で一日中パンを作らされている俺たちには、毎朝やってくる小間使いターニャの存在だけが希望の光だった。だが、伊達男の登場で……。底辺で生きる男たちの哀歓を歌った表題作、港町のアウトローの郷愁と矜持を生き生きと描いた「チェルカッシ」など、初期・中期の4篇。 |
目次 | |
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二十六人の男と一人の女─ポエムー | |
グービン | |
チェルカッシ | |
女 | |
解説 | 中村唯史 |
年譜 | |
訳者あとがき |
マクシム・ゴーリキー Максим Горький |
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[
1868 -
1936 ]
ロシアの作家・ジャーナリスト。ニジニー・ノヴゴロド(1932-90年まで彼にちなみゴーリキーと呼ばれた都市)の商人階層の家に育つ。困窮のため11歳から働き始め、20代まで各地を放浪した後、その経験を基にした短篇を次々と発表。1898年には作品集『記録と短篇』が刊行され好評を博す。革命運動にも関与しつつ、戯曲『どん底』、長編『母』などを執筆し、「プロレタリア文学の父」とも呼ばれた。革命後は、ボリシェヴィキ政権と対立してイタリアに移るが、やがて擁護に転じ、1933年に帰国。その後はソ連の文化政策に協力する一方、体制に順応できない知識人の擁護にも尽力した。 |
[訳者] 中村唯史 Tadashi Nakamura |
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1965年北海道生まれ。東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻博士課程退学。モスクワ大学留学、山形大学教授などを経て、現在、京都大学教授。専門はロシア文学・ソ連文化論。共編著に『再考ロシア・フォルマリズム』『映像の中の冷戦後世界』『自叙の迷宮』ほか。翻訳に『オデッサ物語』(バーベリ)、『恐怖の兜』(ベレーヴィン)、『ハジ・ムラート』(トルストイ)、『トレブリンカの地獄』(グロスマン、共訳)など。 |
書評 | |
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2019.03.17 毎日新聞 | 今週の本棚/行き届いた人間観察、美しい会話(荒川洋治・評) |