作品 |
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二十歳で早世したラディゲの遺作。実は、三島を唸らせた堀口大學の名訳をはじめ、既存の日本語訳はすべてラディゲの死後に友人のコクトーらが相当に修正を加えたテキストからの翻訳であった。今回の新訳は、作家の定めた最終形「批評校訂版」からの初の翻訳である。 |
物語 |
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青年貴族のフランソワは、社交界の花形ドルジェル伯爵夫妻に気に入られ、彼らと頻繁に過ごすようになる。気さくだが軽薄な伯爵と、そんな夫を敬愛する貞淑な妻マオ。フランソワはマオへの恋慕を抑えきれず……それぞれの体面の下で激しく揺れ動く心の動きを繊細に描きとった、至高の恋愛小説。 |
解説 | 渋谷豊 |
年譜 | |
訳者あとがき |
レーモン・ラディゲ Raymond Radiguet |
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[ 1903 - 1923 ] フランスの詩人・小説家。風刺画家を父として、パリ郊外に生まれる。幼少期は成績優秀な生徒だったが、長じて、文学に傾倒。14歳で『肉体の悪魔』のモデルといわれる年上の女性と恋愛関係となり、欠席が増えて退学処分となる。退学後、詩人のジャコブやコクトーと出会い、処女長編小説の本作で文壇デビュー。ベストセラーとなる。その後もコクトーと旅をしながら『ドルジェル伯の舞踏会』を執筆するが、1923年、腸チフスにより20歳の若さで死去。 |
[訳者] 渋谷 豊 Shibuya Yutaka |
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1968年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1995年から8年間のパリ滞在を経て、現在、信州大学人文学部准教授。パリ第四大学文学博士。訳書に『ぼくのともだち』、『きみのいもうと』(ボーヴ/日仏翻訳文学賞受賞)、『鶏のプラム煮』(サトラピ)、『母の家で過ごした三日間』(ヴェイエルガンス)など。 |