核をめぐる国家間の対立を予見

あなたと原爆 オーウェル評論集

あなたと原爆 オーウェル評論集

ジョージ・オーウェル    
秋元孝文  訳   
『1984年』にとどまらない オーウェルの慧眼!
作品
経験に裏打ちされ、そして自らへも批判的な視線を向けるのを厭わなかったオーウェルの洞察は、現代を生きる我々の目をも開いてみせる。オーウェルが見通した未来は一九八四年ばかりではなかった。その思考はさらに射程を伸ばし、彼が鳴らした警鐘は、時を超えて二十一世紀の私たちの耳にも鳴り響く。(解説)
内容
原爆投下のわずかふた月後、その後の核をめぐる米ソの対立を予見し「冷戦」と名付けた表題の「あなたと原爆」、名エッセイ「象を撃つ」「絞首刑」など16篇を収録。ファクトとフェイク、国家と個人、ナショナリズムとパトリオティズムなど、『一九八四年』に繋がる先見性に富む評論集。
目次
I あなたと原爆
科学とは何か?
復讐の味は苦い
スポーツ精神
II 絞首刑
象を撃つ
マラケシュ
右であれ左であれ私の国
スペイン内戦回顧
ナショナリズム覚え書き
イギリスにおける反ユダヤ主義
おいしい一杯の紅茶
本対タバコ
なぜ書くか?
ある書評家の告白
ガンジーについて
 解説 秋元孝文
 年譜
 訳者あとがき
ジョージ・オーウェル    George Orwell
[ 1903 - 1950 ]   

イギリスの作家・ジャーナリスト。 イギリス植民地時代のインドに生まれる。イートン校卒業後、インド帝国警察官任官試験に合格しビルマへ赴任。5年の勤務ののち、ロンドン、パリで放浪生活を送る。1933年、はじめての著作『パリ・ロンドン放浪記』を出版。’37年、スペイン内戦に民兵として参戦。この体験を描いた『カタロニア賛歌』を’38年出版。’45年の『動物農場』が初めてのベストセラーとなり、名声と莫大な収入を得る。’48年刊行の『1984年』は、のちに「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」に選ばれるなど代表作となった。50年、ロンドンで死去。

[訳者] 秋元孝文    Akimoto Takafumi

甲南大学文学部教授。専門はアメリカ文学。訳書に『あの素晴らしき七年』(ケレット)。著書に『ドルと紙幣のアメリカ文学』など。

書評
2019.08.31 日本経済新聞   
2020.05.23 毎日新聞    今週の本棚〈なつかしい一冊〉(藤原帰一さん)