作品 |
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浮世離れした主人公と、それまでとは異なる怪物像、そして斬新な語り口で一躍人気を博したジェイムズだが、じつはこれらの怪談は、本職である研究者生活の余技として書かれたものだった。その独特な不気味さと突然に迫る恐怖の手法は、ラヴクラフトら多くの怪奇作家に影響を与えた。 |
物語 |
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異教信仰の研究者が自らの計画のために歳の離れた従兄弟の少年を引き取る「消えた心臓」。スウェーデンのある地方で発見した古文書のなかに記された“黒の巡礼”から戻った人物の来歴を探る「マグヌス伯爵」など9篇を収録。「英国が生んだ最高の怪談作家」ジェイムズの傑作短篇集。 |
目次 | |
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聖堂参事会員アルベリックの貼込帳(はりこみちょう) | |
消えた心臓 | |
銅版画 | |
秦皮(とねりこ)の木 | |
十三号室 | |
マグヌス伯爵 | |
「若者よ、口笛吹かばわれ行かん」 | |
トマス修道院長の宝 | |
付録 私が書こうと思った話 | |
解説 | 南條竹則 |
年譜 | |
訳者あとがき |
モンタギュー・ローズ・ジェイムズ Montague Rhodes James |
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1862 -
1936 ]
イギリスの作家、中世学者。英国国教会の牧師の家に生まれる。名門イートン校からケンブリッジ大学キングズ学寮に入学。優秀な成績を収め、同学寮の特別研究員となる。同大学フィッツウィリアム博物館の館長、キングズ学寮学寮長、同大学副学長を歴任し、1918年母校イートン校の校長に就任。初めての短篇集『好古家の怪談集』(1904年)で好評を得る。本書のほかに主な著作として『痩せこけた幽霊、その他の物語集』『猟奇への戒め、その他の怪談集』『M・R・ジェイムズ怪談集成』 がある。 |
[訳者] 南條竹則 Nanjo Takenori |
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東京生まれ。小説『酒仙』で第5回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。主な著書に小説『あくび猫』、エッセイ『恐怖の黄金時代──英国怪奇小説の巨匠たち』『ドリトル先生の英国』『吾輩は猫画家である』。主な訳書に『ねじの回転』(ジェイムズ、共訳)、『D.G.ロセッティ作品集』(共訳)、『木曜日だった男 一つの悪夢』(チェスタトン)、『白魔』(マッケン)、『天来の美酒/消えちゃった』(コッパード)、『秘書綺譚』『人間和声』(ブラックウッド)、『怪談』(ラフカディオ・ハーン)、『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』(ワイルド)、『消えた心臓/マグヌス伯爵』(M・R・ジェイムズ)、『アーネスト・ダウスン作品集』、『新アラビア夜話』(スティーヴンスン、共訳)、『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』(オブライエン)、『エリア随筆』(ラム)など。 |
書評 | |
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2020.06.24 朝日新聞 夕刊 | とれたて!この3冊(東 雅夫さん) |