作品 |
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寛容とヒューマニズムの賛歌。18世紀、ドイツ啓蒙思想の代名詞 『賢者ナータン』。カントとならんで、啓蒙の世紀をリードした思想家レッシングがナータンに語らせた〈3つの指輪の寓話〉は、多様性がキーワードになった今日の私たちに、深い問いを突きつける。 |
物語 |
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十字軍の停戦協定が成立したエルサレム。キリスト教徒のテンプル騎士に養女を助けられたユダヤの商人ナータンが、イスラムの最高権力者から「3つの宗教のうち本物はどれか」と問われる。「寛容と人類愛」を説いた思想劇。付録に〈指輪の寓話〉(『デカメロン』)、〈寓話〉(レッシング)。 |
目次 | |
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賢者ナータン | |
付録1 指輪の寓話 | |
付録2 寓話 | |
解説 | 丘沢静也 |
年譜 | |
訳者あとがき |
ゴットホルト・エフライム・レッシング Gotthold Ephraim Lessing |
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[
1729 -
1781 ]
ドイツ啓蒙主義を代表する劇作家・批評家・思想家。フランスの古典主義を脱し、シェイクスピアをドイツに根づかせるなどして、レッシング以降のドイツの演劇と文学の方向を決定した。美学論文 『ラオコーン」、喜劇『ミナ・フォン・バルンヘルム」、『ハンブルク演劇論』、悲劇『エミーリア・ガロッティ』など。劇詩『賢者ナータン」は、聖書を最終審とするルター正統派の牧師ゲツェとの宗教論争(フラグメント論争)が過熱して、宗教関係の出版を禁止されたので、レッシングが論争の続編として自分の思想を書き込んだ戯曲。 |
[訳者] 丘沢静也 Okazawa Shizuya |
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1947年生まれ。ドイツ文学者。著書に『恋愛の授業』『下り坂では後ろ向きに』『マンネリズムのすすめ』『からだの教養』など。訳書に『ツァラトゥストラ』(ニーチェ)、『変身/掟の前で 他2編』『訴訟』(カフカ)、『論理哲学論考』(ヴィトゲンシュタイン)、『飛ぶ教室』(ケストナー)、『寄宿生テルレスの混乱』(ムージル)、『鏡のなかの鏡』(エンデ)、『数の悪魔』(エンツェンスベルガー)など。 |
あとがきのあとがき |
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あとがきのあとがき〉寛容と多様性の大切さを伝えるドイツ啓蒙思想の古典劇 「新啓蒙主義」のすすめ──『賢者ナータン』の訳者・丘沢静也さんに聞く |