モスクワ陥落。生か死か。それぞれの運命が交錯する。

戦争と平和5

戦争と平和5

トルストイ    
望月哲男  訳   
作品
しかし作家としての彼 (トルストイ)の関心は、そうした集団の運命や歴史認識の問題を語るだけには収まらず、むしろそれぞれの志向や性格をもった様々な立場の個人が、この共同の運命をどのように体験し、何を思ったかに寄せられています。(訳者)
物語
モスクワに入ったフランス軍はたちまち暴徒と化し、放火か失火か、市内は大火で焼かれてしまう。使命感からナポレオン暗殺を試みるピエール。退去途中で偶然、重傷のアンドレイを見つけ、懸命の看護で救おうとするナターシャ。そしてモスクワを占領したはずのナポレオンだったが……。
目次
戦争と平和5
第3部(つづき)
 第3編
第4部
 第1編
 第2編
 読書ガイド 望月哲男
レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ    Л. Н. Толстой
[ 1828 - 1910 ]    ロシアの小説家。19世紀を代表する作家の一人。無政府主義的な社会活動家の側面をもち、徹底した反権力的な思索と行動、反ヨーロッパ的な非暴力主義は、インドのガンジー、日本の白樺派などにも影響を及ぼしている。活動は文学・政治を超えた宗教の世界にも及び、1901年に受けたロシア正教会破門の措置は、今に至るまで取り消されていない。主著に『アンナ・カレーニナ』、『戦争と平和』、『復活』など。
[訳者] 望月哲男    Mochizuki Tetsuo
1951年生まれ。中央学院大学教授。北海道大学名誉教授。ロシア文化・文学専攻。著書に『「アンナ・カレーニナ」を読む』『ドストエフスキーカフェ-――現代ロシアの文学風景』、『ユーラシア地域大国の文化表象』、訳書に『白痴』『死の家の記録』(ドストエフスキー)、『アンナ・カレーニナ』『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』(トルストイ)、『ロマンⅠ、Ⅱ』(ソローキン)、『ドストエフスキーの詩学』(バフチン、共訳)、『自殺の文学史』(チハルチシヴィリ、共訳)、『アレクサンドルⅡ世暗殺』(ラジンスキー、共訳)、『青い脂』(ソローキン、共訳)など。『アンナ・カレーニナ』でロシア文学翻訳最優秀賞受賞。