作品 |
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「どうして、未来と移動と議論とを禁じるペストのことなど考えられただろうか? 彼らは自分を自由だと考えていたが、天災があるかぎり、人間はけっして自由になどなれはしないのだ」(第I部) 今回のコロナ禍を予見したとしか思えない一節です。すなわち、この状態がいつまで続くか分からないという未来の展望の欠如。疫病の感染拡大を恐れるがゆえの人々の移動の禁止。すみやかな決定をよしとし、対面での議論をできるかぎり回避する傾向。コロナ禍が脅かしたものは、私たちの自由そのものだったのです。 (解説) |
物語 |
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194*年4月、オラン市に突如発生した死の伝染病ペスト。病床や埋葬地は不足、市境は封鎖され、人々は恋人や家族と離れた生活を強いられる。一方、リュー医師ら有志の市民は保健隊を結成し、事態の収拾に奔走するが……。不条理下の人間の心理や行動を恐るべき洞察力で描いた長篇小説。 |
目次 |
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ペスト |
解説 中条省平 |
年譜 |
訳者あとがき |
アルベール・カミュ Albert Camus |
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[
1913 -
1960 ]
仏領アルジェリア出身のフランスの作家。家庭の貧困や結核に苦しみながら、アルジェで大学までの教育を受ける。演劇活動や新聞社での仕事などを経て、1942年に人間存在と世界の不条理を主題として小説『異邦人』と哲学エッセー『シーシュポスの神話』を刊行。戦中・戦後はパリでレジスタンス的姿勢の新聞「コンバ」の編集に携わり戦争についての論説を発表した。1947年に小説『ペスト』で高い評価を得た後も、長篇『転落』、短篇集『追放と王国』、戯曲『戒厳令』『正義の人びと』、哲学エッセー『反抗的人間』などを発表し、1957年にノーベル文学賞を受賞した。1960年、自動車事故により46歳で死去。 |
[訳者] 中条省平 Chujo Shohei |
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1954年生まれ。学習院大学教授。仏文学 研究のほか、映画・文学・マンガ・ジャズ 評論など多方面で活動。主著に『カミュ伝』『恋愛書簡術』『反=近代文学史』『フランス映画史の誘惑』。訳書に『マダム・エドワルダ/目玉の話』(バタイユ)、『恐るべき子供たち』(コクトー、共訳)、『肉体の悪魔』 (ラディア)、『花のノートルダム』(ジュネ)、『消しゴム』(ロブ=グリエ)、『狭き門』(ジッド、共訳)、『にんじん』(ルナール)、『すべては消えゆく』(マンディアルグ)ほか多数。 |
書評 | |
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2021.10.17 読売新聞 | (評:川口晴美さん) |
2021.10.30 毎日新聞 | 今週の本棚 鼎談<疫病と文学>鴻巣友季子さん、鹿島茂さん、池澤夏樹さん |