いざ、憧憬の地へ

イタリア紀行(上)

イタリア紀行(上)

ゲーテ    
鈴木芳子  訳   
芸術家として生きたい!
ゲーテ起死回生のクリエイティブ休暇
作品
「わが青春の夢という夢がいま、活気を帯びて目の前にある」。表向きはエリート官僚として順調だが、詩的創造力の枯渇に苦しむゲーテは、大胆にも公務を放り出し、長年の憧れであるイタリアへ向かった。自然や民衆、古代遺跡や美術など、五感をフル活用して綴った清新な旅の記録。読みどころガイド付き。
内容
ヴァイマール公国での公務を放り出し、長年の憧れであるイタリアへ旅立ったゲーテ37歳。旺盛な好奇心と鋭い観察眼で、ヴェネツィアからローマ、ナポリ、シチリアなどをめぐり、美術や自然、人びとの生活について書き留めた。
目次
カールスバートからブレンナー峠まで
ブレンナー峠からヴェローナまで
ヴェローナからヴェネツィアまで
ヴェネツィア
フェラーラからローマへ
ローマ
ナポリ
シチリア
回想から
ナポリ ヘルダーに宛てて
 『イタリア紀行』読みどころガイド 鈴木芳子
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ    Johann Wolfgang von Goethe
[ 1749 - 1832 ]   

ドイツの詩人・作家。フランクフルト生まれ。25歳で書いた小説『若きウェルテルの悩み」が大ベストセラーとなり世界的な反響を呼ぶ。27歳でヴァイマール公国の官僚として宮廷に入る。この頃、7歳年上のシュタイン夫人と親しくなり、長い友情・恋愛関係が始まる。文学だけでなく、地質学、鉱物学、植物学など自然科学にも関心をもち研究を重ねる。1786年9月から'88年6月までイタリア旅行。戯曲、詩集、小説などの創作活動にはげみ、晩年は死の直前まで、20代から書きはじめた『ファウスト』の第2部完成に精力を注いだ。1832年ヴァイマールで死去。主な作品に『若きウェルテルの悩み』、『ファウスト』、『西東詩集』、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』、自伝『詩と真実』がある。

[訳者] 鈴木芳子    Suzuki Yoshiko
1987年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。翻訳家・ドイツ文学者。訳書に『読書について』『幸福について』(共にショーペンハウアー)、『イタリア紀行』(ゲーテ)、『宮廷画家ゴヤ』 (フォイヒトヴァンガー)、『ダダ大全』(ヒュルゼンベック編著)、『醜の美学』(ローゼンクランツ)、『ベビュカン』『二十世紀の芸術』(共にカール・アインシュタイン) ほか多数。共著に『私が本からもらったもの 翻訳者の読書論』。