見識を深めて辿りつく 詩文学こそ、わが天命。

イタリア紀行(下)

イタリア紀行(下)

ゲーテ    
鈴木芳子  訳   
作品
古代遺跡探訪に美術鑑賞と絵画修業。鉱物採取と植物観察、そしてローマのカーニバル観賞……。芸術家にして自然研究者であるゲーテが若々しいヴァイタリティとみずみずしい感性で綴ったこの作品は「永遠の青春のひと」という言葉にふさわしい文豪の青春の記録である。
内容
ローマに足を踏み入れたその日が私の第二の誕生日となり、真の再生がはじまった」。詩人・作家らしい観察眼と探求心で見識を深めた二年間。いまこそ一気に自然と芸術を繋ぐものが見えてきた。芸術の神髄を求める文豪ゲーテの魂の記録。
目次
第二次ローマ滞在  1787年6月より1788年4月まで
 解説 鈴木芳子
 年譜
 訳者あとがき
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ    Johann Wolfgang von Goethe
[ 1749 - 1832 ]   

ドイツの詩人・作家。フランクフルト生まれ。25歳で書いた小説『若きウェルテルの悩み」が大ベストセラーとなり世界的な反響を呼ぶ。27歳でヴァイマール公国の官僚として宮廷に入る。この頃、7歳年上のシュタイン夫人と親しくなり、長い友情・恋愛関係が始まる。文学だけでなく、地質学、鉱物学、植物学など自然科学にも関心をもち研究を重ねる。1786年9月から'88年6月までイタリア旅行。戯曲、詩集、小説などの創作活動にはげみ、晩年は死の直前まで、20代から書きはじめた『ファウスト』の第2部完成に精力を注いだ。1832年ヴァイマールで死去。主な作品に『若きウェルテルの悩み』、『ファウスト』、『西東詩集』、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』、自伝『詩と真実』がある。

[訳者] 鈴木芳子    Suzuki Yoshiko
1987年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。翻訳家・ドイツ文学者。訳書に『読書について』『幸福について』(共にショーペンハウアー)、『イタリア紀行』(ゲーテ)、『宮廷画家ゴヤ』 (フォイヒトヴァンガー)、『ダダ大全』(ヒュルゼンベック編著)、『醜の美学』(ローゼンクランツ)、『ベビュカン』『二十世紀の芸術』(共にカール・アインシュタイン) ほか多数。共著に『私が本からもらったもの 翻訳者の読書論』。