作品 |
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社会階層も価値観も異なる多様な作中人物が行き交い、複雑多岐な出来事が展開する筋を縒り合わせ、人間の行為の奥底にひそむ偶然と必然の問題を照らし出す。二十世紀の文学に新たな局面を切りひらいたジッドの傑作。 |
物語 |
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奇蹟によって回心したフリーメーソン会員のアンティムと、幽閉されたローマ法王を救い出すという詐欺を企てる《百足組》の首領プロトス。そして、予期せぬ遺産を手にしながらも「無償の行為」に走るラフカディオ。それぞれの偶然の出来事が複雑に絡み合い……。 |
目次 |
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第一の書 アンティム・アルマン = デュボワ |
第二の書 ジュリウス・ド・バラリウル |
第三の書 アメデ・フルリッソワール |
第四の書 百足組 |
第五の書 ラフカディオ |
解説 三ツ堀広一郎 |
年譜 |
訳者あとがき |
アンドレ・ジッド André Paul Guillaume Gide |
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[ 1869 - 1951 ] フランスの小説家。法学者の父と、富豪の娘である母との間に生まれる。大学には進学せずに文学に専念し、ヴァレリー、マラルメ、ワイルドらと友人となり、1895年には従姉マドレーヌと結婚。この恋愛と結婚生活は1909年の『狭き門』の題材となったが、自身は同性愛者であると後に告白している。『背徳者』『法王庁の抜け穴』『田園交響曲』『贋金つかい』など多くの小説、自伝『一粒の麦もし死なずば』がある。1947年、ノーベル文学賞受賞。 |
[訳者] 三ツ堀広一郎 Mitsubori Koichiro |
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1972年生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。同大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。専門は現代フランス文学。訳書に『二十世紀 フランス小説』(ドミニク・ラバテ)、『ルイユから遠くはなれて』(レーモン・クノー)、『本当の小説 回想録』(フィリップ・ソレルス)、『レペルトワールI』(ミシェル・ビュトール、共訳)がある。 |