作品 |
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「好色」にこめられたもう一つの意味は、在原業平のような 雅な「色好み」である。主人公世之介は光源氏のパロディであり、この小説は『源氏物語』五十四帖を踏まえた五十四章から成る。また俳諧をたしなむぐらいの教養の持ち主なら知っている古典の文章が随所でもじられている。西鶴は、春本の意味で「好色」と付けたのではない。(訳者) |
物語 |
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世之介は、七歳で腰元をくどき、十二歳で風呂屋女 (湯女) と寝るような早熟ぶり。放蕩のすえ勘当され、地方を遍歴する。その後遺産を相続して大金持ちとなり、名高い遊女たちとの好色生活を続けた。元禄期、作者・読者・流通の常識を覆した日本初のベストセラー小説を画期的新訳で! |
目次 | |
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解説 中嶋 隆 | |
付録 | |
付録『好色一代男』を面白く読むために! の一部を公開中 | |
年譜 | |
訳者あとがき |
井原西鶴 Ihara Saikaku |
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1642〈寛永19〉 -
1693〈元禄6〉 ]
江戸時代前期を代表する俳諧師、浮世草子作者。大坂の商家に生まれる。39歳で、一日に4000句を一人で詠む「矢数俳諧」に成功して名声を得た。41歳時に浮世草子『好色一代男』を出版。当時の出版界に衝撃を与え、以降人気作家となる。『好色五人女』『好色一代女』『男色大鑑』『日本永代蔵』『武家義理物語』『世間胸算用』など、次々に問題作を刊行し、近代以降の作家にも多大な影響を及ぼす。52歳歿。 |
[訳者] 中嶋 隆 Nakajima Takashi |
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1952年、長野県生まれ。早稲田大学名誉教授。作家。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は西鶴などの江戸時代文芸・文化研究。著書に『西鶴と元禄メディア』『初期浮世草子の展開』『西鶴と元禄文芸』『西鶴 「誹諧独吟一日千句」研究と註解』等多数。小説『廓の与右衛門 控え帳』で第8回小学館文庫小説賞受賞。時代小説は他に『はぐれ雀』『補陀落ばしり物語』など。訳書に『好色一代男』(井原西鶴) がある。 |
書評 | |
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2023.05.30 日本経済新聞 | 町田康訳「古事記」・中嶋隆訳の西鶴 現代人に響く翻訳 |