人々の幸福、平等と正義の実現を目指して
「最善の国制とは?」

政治学(下)

政治学(下)

アリストテレス    
三浦 洋  訳   
アリストテレスの問いに、わたしたちはどう答えるか。
作品
国制の変動の原因と対策。民主制と寡頭制の課題と解決。国家を成立させる最も基礎的な人口と国土。そして、政治の最大の仕事である優れた市民の育成。幸福と平等と正義の実現を目指す、最善の国制の探究を通じて投げかけられた問いこそ、現代のわたしたちが答えるべき課題にほかならない。
内容
人生における幸福について根源的に考え抜いた『ニコマコス倫理学』。その理論を基礎に、人々の幸福が最大限実現される最善の国制について深く探究した『政治学』。経済学も含め、法哲学、国家論、そして現代の正義論へと通じる社会思想全般の領域で、アリストテレスの思想は、今日ますます重要性を増している。
目次
  
政治学(下)
凡例
訳者まえがき
  • 第五巻 国制の変動の原因と対策
  • 第六巻 民主制と寡頭制の課題
  • 第七巻 理想的な最善の国制
  • 第八巻 最善の国家の教育制度

第一章 内乱に関わる平等の問題

第二章 内乱の普遍的な原因

第三章 内乱の発端 各論

第四章 国制を変動させた原因の事例

第五章 民主制の変動の原因

第六章 寡頭制の変動の原因

第七章 貴族制と共和制の変動の原因

第八章 国制を存続させるための方策〈前半〉

第九章 国制を存続させるための方策〈後半〉

第十章 単独者支配制の変動の原因

第十一章 単独者支配制を存続させるための方策

第十二章 独裁制が長く存続した事例──国制の変動論の総括

第一章 民主制の種類の探究への序論

第二章 民主制的な自由、正義、平等

第三章 民主制的な平等はどのようにして確立されるか

第四章 民主制の四種類の序列

第五章 民主制を存続させるための方策

第六章 寡頭制はどのようにして確立されるべきか

第七章 寡頭制を存続させるための方策

第八章 国家の性質に適した公職の種類

第一章 序論──個人の生き方から国家の生き方へ

第二章 個人の幸福と国家の幸福は同じか

第三章 自由人の生き方と実践的な生き方の検討

第四章 国家の人口はどれくらいであるべきか

第五章 国土はどうあるべきか

第六章 国土論の補論──海に関わる問題

第七章 どのような性質の市民であるべきか

第八章 何が国家を構成するか

第九章 国家の働きをどう分担するべきか

第十章 人間の分離と共同食事

第十一章 国土において首都はどうあるべきか

第十二章 国土において公共の場所はどう配置されるべきか

第十三章 国家を構成する市民はどうあるべきか

第十四章 何を目指して市民を教育するべきか

第十五章 どのような徳の教育を市民に行うべきか

第十六章 生殖を通じた子どもの身体への配慮

第十七章 子どもの誕生後の配慮

第一章 どのような教育が必要か

第二章 学習内容をめぐる論争

第三章 現行の教育科目についての考察

第四章 体育はどうあるべきか

第五章 何のために音楽教育を行うのか

第六章 学習者は演奏に取り組むべきか

第七章 教育に有用な音楽の要素の種類

 解説 三浦 洋
 年譜
 訳者あとがき
              
アリストテレス    ΑΡΙΣΤΟΤΕΛΗΣ
[ 384 B.C. - 322 B.C. ]    古代ギリシャを代表する哲学者。ギリシャ北部のスタゲイラに生まれ、17歳ころアテナイのプラトンの学園アカデメイアに入学、20年間研究生活を送る。プラトンの死後小アジアなどの遍歴時代を経て、50歳近くでアレクサンドロス王の庇護のもとでアテナイに学園リュケイオンを創設し、学頭として研究と教育に没頭した。かれの著作は講義ノートが大部分であり、内容別に整理され、学問方法論、理論学の『形而上学』、『魂について』、実践学の『二コマコス倫理学』『政治学』、制作学の『詩学』などがある。
[訳者] 三浦 洋    Miura Hiroshi

1960年生まれ。北海道情報大学情報メディア学部教授。博士(文学)。北海道大学大学院文学研究科(哲学専攻)博士課程修了。研究分野は、古代ギリシャ哲学を中心に、哲学、倫理学、芸術学にわたる。分担執筆に「地域連携型の芸術教育」(『北大 教養教育のすべて』所収)、訳書に『詩学』(アリストテレス)、「アリストテレス霊魂論註解」(フランシスコ・デ・トレド、『中世思想原典集成20 近世のスコラ学』所収、共訳)がある。