内容 |
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陽の差さない部屋で怠惰を愛する「僕」は、隣室で妻が「来客」からもらうお金を分け与えられて……。表題作「翼」ほか、近代化・植民地化に見舞われる朝鮮半島にて新しい文学を求めた孤高のモダンボーイの歓喜と苦闘の証たる小説、詩 (日本語詩を含む)、随筆等を収録。 |
作品 |
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この小さな本は李箱の個性の一部を照らしたものにすぎないが、絶望や恐怖とともに、その喜びの一端でも味わっていただけたら幸いである。斎藤真理子(訳者) |
目次 |
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訳者まえがき |
〔詩〕烏瞰図 詩第一号 |
〔小説〕翼 |
〔日本語詩〕線に関する覚書1 |
〔詩〕鳥瞰図 第十五号 |
〔小説〕蜘蛛、豚に会う |
〔紀行文〕山村余情──成川紀行中の何節か |
〔小説〕逢別記 |
〔童話〕牛とトッケビ |
〔随筆〕東京 |
〔小説〕失花 |
〔書簡〕陰暦一九三六年大晦日の金起林への手紙 |
〔散文詩〕失楽園 |
〔詩〕烏瞰図 詩第四号 |
解説 斎藤 真理子 |
年譜 |
訳者あとがき |
李箱(イサン) 이상 |
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[
1910 -
1937 ]
韓国の詩人・小説家。日韓併合直後の京城(ソウル)に生まれる。朝鮮総督府勤めの傍ら、美術と文筆において創作活動を行う。1933年に総督府を辞職したあとは、喫茶店の経営などを行いながら創作を続け、1936年に小説「翼」が好評を得る。同年10月、京城を離れ、東京の神保町に住み始める。1937年2月に神田のおでん店にて飲んでいたところを警察に見咎められ逮捕され、ひと月後に健康状態悪化のため保釈されるも、同年4月に死去。その後、李箱の作品は、朝鮮戦争が休戦を迎えたあとの虚無的な世相のなかで熱狂的な人気を獲得し、現在、韓国でもっとも権威のある文学賞には李箱の名が冠されている。 |
[訳者] 斎藤真理子 Saito Mariko |
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1960年、新潟市生まれ。翻訳者。著書に『韓国文学の中心にあるもの』『本の栞にぶら下がる』。訳書にチョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』、ハン・ガン『ギリシャ語の時間』、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』、チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』などがある。2015年、共訳書パク・ミンギュ『カステラ』が第一回日本翻訳大賞受賞。2020年、訳書チョ・ナムジュ他『ヒョンナムオッパへ』で第18回韓国文学翻訳大賞(韓国文学翻訳院主催)受賞。 |
書評 | |
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2024.02.10 クロワッサン(マガジンハウス) | 「文字から栄養 よりすぐり読書日記」(瀧井朝世さん) |
2024.01.20 毎日新聞 | 今週の本棚「破格で先鋭、苦難の朝鮮で放たれた光」(評者:荒川洋治さん) |
2023.11.29 毎日新聞 | 文芸時評 11月 私のおすすめ 渡辺祐真(書評家)さん |
2023.12.17 読売新聞 | 「文庫新書」(評者:石井千湖さん) |