奇才ホフマンがはなつ、世界に冠たるネコ文学!

ネコのムル君の人生観 (上)

ネコのムル君の人生観 (上)

ホフマン    
鈴木芳子  訳   
「吾輩は詩猫しじんムルである。名声はまだ無い」
物語
人のことばを理解し、読み書きを習得した雄ネコのムルが綴る自伝と、架空の音楽家クライスラーの伝記が交差する傑作長編。上巻はムルの生い立ちから、友だちのプードル犬ポントとの友情、美猫との恋話など青年時代まで。愛猫家必読!ネコ愛あふれる訳者による抜群に読みやすい新訳。
内容
「本書は幻想文学の奇才ホフマンによる稀代のネコ小説にして芸術家小説です。賢く愛らしいムル君の言動に幾度頰をゆるませ、クライスラーの歓喜と苦悩にどんなに心を揺さぶられたことでしょう」(訳者)。ネコと芸術を愛するすべての人に捧げる、渾身の新訳!!
目次
編集者の序文
作者の序文
公表されない作者の序文(心の声)
第一章 五感でとらえた生 青春時代
第二章 青年の人生経験 われもまたアルカディアに
 解説 その一 鈴木芳子
 主要登場人物、ネコ、イヌしおり
エルンスト・テオドア・アマデウス・ホフマン    Ernst Theodor Amadeus Hoffmann
[ 1776 - 1822 ]    ドイツの作家。ケーニヒスベルク生まれ。2歳のときに母の実家に引き取られる。ケーニヒスベルク大学法科に入学後、もっぱら作曲や楽器演奏、絵画に励む。卒業後、司法官試補を経て陪席判事に任じられる。1804年、南プロイセン政庁参事官としてワルシャワ入りし、2年後、ナポレオン軍のワルシャワ侵攻のために失職。劇場音楽監督の職を求めてバンベルク劇場と契約。支配人補佐の地位を得た後、作曲家、演出家として活躍する。1814年『カロ風幻想作品集』を出版。旺盛な作家活動を展開し、一躍、流行作家となる。その後、ベルリン大審院判事に復職した。1819年『ネコのムル君の人生観』執筆開始。46歳で、脊椎カリエスのため死去。
[訳者] 鈴木芳子    Suzuki Yoshiko
1987年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。翻訳家・ドイツ文学者。訳書に『読書について』『幸福について』(共にショーペンハウアー)、『イタリア紀行』(ゲーテ)、『宮廷画家ゴヤ』 (フォイヒトヴァンガー)、『ダダ大全』(ヒュルゼンベック編著)、『醜の美学』(ローゼンクランツ)、『ベビュカン』『二十世紀の芸術』(共にカール・アインシュタイン) ほか多数。共著に『私が本からもらったもの 翻訳者の読書論』。