20世紀初頭、アメリカで国民的な人気を博したジャック・ロンドンの出世作が新訳でよみがえった。感傷を排しドライな筆致で描かれた、犬と男たちの荒々しいドラマは、時代を超えて心を揺さぶる。
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。
ジャック・ロンドン |
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1876 -
1916 ]
アメリカの小説家。サンフランシスコで貧しい家庭に育ち、15歳の頃から牡蠣密猟、アザラシ猟船乗組員、発電所の石炭運搬など様々な職につき、各地を放浪する。1897年、クロンダイクのゴールドラッシュに参加するが壊血病にかかり帰郷。1903年、北方での見聞をもとに書いた『野性の呼び声』が大ヒットし、人気作家となる。以後、『どん底の人々』『海の狼』『ホワイト・ファング』などを精力的に発表する。40歳で死去。 |
[訳者] 深町眞理子 Fukamachi Mariko |
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1931年生まれ。英米文学翻訳家。訳書に、『ザ・スタンド』(キング)、『ルーンの杖秘録』シリーズ(ムアコック)、『光の王』(ゼラズニイ)、『渇きの海』(クラーク)、『親指のうずき』(クリスティー)、『くじ』(ジャクスン)、『アンネの日記 増補新訂版』(フランク)、『野性の呼び声』(ロンドン)ほか多数。著書に『翻訳者の仕事部屋』がある。 |